還暦といえば以前は赤いちゃんちゃんこを着て、赤子に還るという意味で、現役から引退、残りの人生を自由に、自分のために生きるという記念すべき60歳の祝いでした。しかし、今では体力的にも精神的にも実年齢(暦年齢)よりも若くなり、「高齢者は65歳からではなく75歳以上に」と日本老年学会と日本老年医学会が提言しています。
それだけ体力がついて、長生きできるようになったのはよいことであっても、健康で、元気でなければ、これからの時代は生き延びていくことはできないと考えます。というのは、“元気でなければ余生が楽しめない”という意味ではなく、元気でなければ親の介護もできなければ、高齢化が急激に進む地域への貢献もできないという意味での考えです。
平均寿命が今ほど長くなかった時代、つまり60歳を超えた人たちの親の世代が高齢者となった今から25〜30年ほど前には、体力が衰え、寝たきりや、そこまではいかなくても介護や生活の世話が必要になってから寿命を迎えるまでの期間は長くて10年ほどでした。身体は元気な状態であるといっても、パーツは年齢が進むにつれて傷んでいきます。足腰が弱くなり、膝の軟骨がすり減ってきて歩けなくなってから寿命までの期間は当然、平均寿命が延びるほど長くなってきます。
自由に動ける期間が健康寿命とされているので、健康寿命と平均寿命の差は長くなります。その差は今は男性が9年、女性が12年となっています。この期間が介護なり、介助が必要な期間となり、少なくとも10年前後は不自由な生活を過ごしながら最期を迎える状況となっています。
介護が必要になるのは何も足腰だけの問題ではなく、生活習慣病が進んで心疾患や脳血管疾患になると、これも自由に動くというわけにはいかなくなります。もう一つ問題となるのは認知症です。認知症につながる脳機能の低下は年齢を重ねるほど発症しやすくなり、女性の場合、平均寿命の87歳になると、なんと半分が認知症になると推定されています。身体的に問題がない状態であっても認知機能の低下は、やはり介護、介助が必要になります。
このような状態で長生きすると、介護期間が20年に及ぶことも珍しくはありません。自身が65歳以上の高齢者に達してから介護する側の立場になると、20年間の介護を終えたときには自身も介護を受ける85歳にもなっています。そこまで身体がもたずに、介護を受ける側になって、さらに親も生きているとなると家の中に二世代の要介護者がいることにもなりかねません。これでは“老老介護”どころの話ではなく、“二世代介護”となってしまいます。
そのときに三世代目の子供が二世代の介護を担ってくれればよいものの、親が大変な介護をしているところを見続けた子供が、果たして親の介護をすると言ってくれるのか、ましてや親も祖父母も介護すると言ってくれるのか、それはまったくわかりません。こうなると自分が介護を受けないで済む状態を保って、どうしても入院しなければならない状態を寿命ギリギリまで延ばすことを考えないわけにはいかなくなります。
生活習慣病にならないようにするのは大変なことであったとしても、生活習慣病の初期段階で止めて、それ以上は進まないようにすることならできます。そのためには食事と運動、そして休養という与え前のことから改善が求められるわけですが、今のような時代にギリギリまで健康状態を保って、元気に最期を迎えるピンピンコロリ、略してピンコロを目指すためには、さまざまな方法を組み合わせて、より効果的な方法、結果がよい方法を取り入れるしかありません。
その方法として日本メディカルダイエット支援機構が研究をして、資格認定講習などで伝えているのが食事と運動のタイミング、食事と休養のタイミング、運動と休養のタイミングによる“メディカルダイエット”の手法です。ダイエットという言葉がついているので、やせる方法と勘違いされることもありますが、ダイエット(diet)は正しい生活、適切な方法を指す言葉で、それが食事では適切な食事や食事療法、運動では適切な運動や運動療法となります。
実践の方法については、このコーナーで徐々に紹介しているところですが、自分のため、家族のため、地域のために介護を受けないで済む“究極の介護予防”を身につけてもらうための活動を私たちは続けていきます。