運動ガイド21 働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント1

厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の「働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント」の「社会生態学モデル」「行動変容を促すモデルについて」を紹介します。

〔社会生態学モデル〕
働く人が職場で活動的に過ごすためには、個人がその重要性を認識し、意識的に取り組むことが重要です。しかしながら、余暇時間ではなく労働時間において、活動的に過ごすことを重要視するには、個人の努力だけでは難しい側面があります。

職場で活動的に過ごすことの意義について共通認識がなければ、職場の同僚から、「仕事をさぼっている」と勘違いされてしまうかもしれません。長時間、座って仕事することを強要されるような職場環境では、個人の努力で活動的に過ごすことは困難です。

近年、社会生態学モデルが注目されており、人の行動に影響する要因が多層的であることが示されています。すなわち、個人だけに働きかけるのではなく、組織レベル、地域レベル、政策レベルでの対策を講じることで、集団全体への効果が高まるのです。

〔行動変容を促すモデルについて〕
働く人が職場で活動的に過ごすために、多層的な対策を講じる場合、具体的にどのような対策で講じればよいでしょうか。人の行動を科学する行動科学理論には、様々な理論がありますが、その1つにCOM-Bモデルという考え方があります。この理論は、行動(Behaviour)は、それを行う能力(Capability)、機会(Opportunity)、モチベーション(Motivation)が総合的に作用することで生じるという考えに基づきます。

能力としては、身体的な能力と心理的な能力があります。身体的な能力はトレーニングによって高めることができますが、心理的な能力を高めるためには、知識を提供し、理解を深めるための教育も重要になります。

機会は物理的な機会と社会文化的な機会があり、いずれも環境の変化が必要となります。モチベーションには内発的モチベーションと外発的モチベーションがあります。内発的モチベーションを高めるには、知識を提供し理解を深めることで、その行動に対して肯定的に考えられるようにする必要があります。インセンティブや環境の変化があれば、外発的モチベーションが高まります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕