日本人は世界1位の長寿を誇っています。女性が1位、男性が3位ではあっても、男女平均ではトップの平均寿命となっています。これは、もともと長生きの要素を持っていたのに栄養的に不足しているところがあり、これは生活が豊かになったことで補われた結果だと考えられています。
健康的に長生きするためには、以前は魚食がすすめられていました。これは肉食を減らすことが前提の話で、肉(獣肉類)を多く食べながら魚も多く食べようということではありません。
肉も魚も同じ良質な動物性たんぱく質であることに違いはないものの、主な脂質(脂肪)に違いがあって、肉には飽和脂肪酸が多く、魚には不飽和脂肪酸が多くなっています。飽和脂肪酸は血液ドロドロ系、不飽和脂肪酸は血液サラサラ系の性質があります。
ところが、日本人の高齢化が一気に進み、65歳以上であっても身体的に若い人が増えてきて、平均寿命、健康寿命ともに延びています。身体の状態を検査すると20年前に比べて、10歳以上も若くなっているとの報告もあります(日本老年学会、日本老年医学会)。
その理由の一つとして、肉のたんぱく質があげられていて、医師の中には「高齢者は肉を食べろ」という人も増えてきています。これは平均寿命、健康寿命を食生活と比較した調査があり、その中で肉を多く食べる高齢者でよい結果が得られていたからです。
この結果は、以前から「肉を多く食べていたから健康なのか、健康だから肉が多く食べられるのか」という疑問が示されていました。しかし、肉食が増えてきたことから血管が丈夫になったのは事実です。
以前に日本人は肉の摂取が不足していたために血管が切れて、これが脳血管疾患、心疾患(心臓病)で亡くなる例が多くなっていました。それに対して今は肉の摂取が多くなりすぎてコレステロールが過剰になって動脈硬化で亡くなる例が増えてきました。
この中間の状態が血管を丈夫にして長生きする条件ということで、肉は適度に食べること、他のものも満遍なく食べるというバランスが大事という当たり前の結論になりそうです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕