働く人を年齢別に分けた場合、55歳以上は高年齢者に分類されます。高年齢者となると身体機能の低下が大きくなり、仕事の効率の低下だけでなく、集中力や注意力が低下するために事故やミスを起こしやすくなります。
定年退職年齢が60歳の時代には、高年齢者としての期間は5年間ほどでした。それが65歳定年の時代には10年間ほどで2倍になります。2021年(令和3年)4月1日に高年齢者雇用安定法が改正されて、65歳まで定年を延長することが推奨されましたが、この推奨が義務に変わるのは2025年(令和7年)4月からです。
併せて、70歳までは本人が希望した場合には、雇用を継続することが努力義務とされます。70歳まで継続して働く場合には、高年齢者としての労働期間は15年間ほどと3倍にもなります。
日本人の平均寿命は、男性の場合を例とすると81.09歳(2024年)で、70歳で退職しても10年ほどの期間があります。平均寿命と、自由に活動ができる健康寿命との差は男性では9年ほどであるので、退職年齢が70歳というのは、自由に動ける最後の年に近いということになります。
あくまで平均ではあるものの、働ける限りは働きたいという希望をかなえるためには、65歳まで、70歳まで元気な状態であることが必要になってきます。そのための企業における健康づくりの対応は高年齢者になる前の、できれば50歳前後から始めるようにしたいところです。
日本の定義では高齢者は65歳以上で、そのうち65〜74歳は前期高齢者、75歳以上は後期高齢者と分類されたのは2008年のことです。2017年には、日本老年学会と日本老年医学会が「高齢者は75歳以上に」という提言をしています。65〜74歳は准高齢者としています。
これは10〜20年前に比べて65歳以上の人は10歳は若返っているという研究データに基づいています。しかし、これも平均であって、もっと若くて元気な人もいれば、以前と同様、以前よりも身体の状態が高齢化しているという人を含めています。
高年齢者になってから働ける期間が2倍、3倍になっても元気でいられるための対策は、現状を把握することから始まります。そのためには従来の健康診査、体力測定だけでは充分とはいえないことから、私たちは身体年齢測定と新たな形の食生活チェックをすすめています。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕