活躍社会推進8 発達障害者支援法による国民の役割

発達障害者に対する責務は、自治体だけでなく、国民一人ひとりにも定められています。

発達障害者支援法の第4条には「国民の責務」として、「国民は、個々の発達障害の特性その他発達障害に関する理解を深めるとともに、基本理念にのっとり、発達障害者の自立及び社会参加に協力するように努めなければならない」と書かれています。

理解をするための勉強の機会を得ることを個々に求めても国民的な理解を進めることはできないことから、やはり自治体や関連団体が着手するべきこと、自治体だけで不可能であれば民間との協働で実施することが求められています。

発達障害者支援法の第2条の2の「基本理念」には、国や地方公共団体(自治体)が発達障害者を支援する団体との連携を進めることが示されています。連携を進めるということは、発達障害者の支援を自治体に期待するだけでなく、民間の団体にも期待されているということで、自治体の協力を得ながら、市民活動として取り組むべきである、ということが示されています。

そのような取り組みをしようと考え、国や自治体にアプローチしても、なかなか応えてくれないと感じている人も少なくないはずです。自治体の理解が得られたとしても、関係する機関が期待どおりに動いてくれないために、歩みが鈍いと感じさせられることもあります。

この点について、発達障害者支援法の第2条の2では続けて、以下のように示されています。

「国及び地方公共団体は、発達障害者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に対し、個々の発達障害者の特性に配慮しつつ総合的に応ずることができるようにするため、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の有機的連携の下に必要な相談体制の整備を行うものとする。」

自治体は家族からの相談に乗ることも、支援を実施しようとする団体などからの相談に乗ることも積極的に進めなければならないということであり、発達障害という特性から医療、保健、福祉、教育、労働などの幅広い業務に関わる機関とも民間団体とも連携することが求められています。

すぐに関係機関や関連する民間団体と一緒に行動することは難しいことであるとしても、少なくとも相談に乗り、活動の応援をしてもらえるのは期待してよいということです。

さらに続けて、「国及び地方公共団体は、発達障害者の支援等の施策を講じるに当たっては、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を担当する部局の相互の緊密な連携を確保するとともに、発達障害者が被害を受けること等を防止するため、これらの部局と消費生活、警察等に関する業務を担当する部局その他の関係機関との必要な協力体制の整備を行うものとする」とあり、協力体制も整備することが求められています。

発達障害者支援法によって定められている主旨に基づいて、それぞれの人が、それぞれの立場で行動を起こすことが期待されているわけですが、私たちは発達障害の実態をまずは知ってもらうことの行動として発達障害サポーターの養成を進めています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕