自分の立ち位置や現在のポジションがわからないと、どれくらい自由に動けているのか、逆に制限をされているのかわからないということになります。健康の話をしているときに、「どうしたら健康になれますか」という質問には、技術的なことを含めて、いろいろとアドバイスできるのですが、健康であれば幸せとは限りません。
「どうしたら幸せになれますか」と聞かれると返答に困ってしまうこともあります。
幸せは、それぞれの人で受け止め方が違っています。お金や地位だけでなく、健康についても幸せ感は違っています。
こんな話を書くのは、“健幸”という言葉を使って話をしたときに、健康であっても、ぎりぎりの生活をしているのでは幸せと言えない、という反応が会場からあって、一瞬であっても立ち往生してしまった講師がいたからです。
立ち往生という用語は、道路が渋滞して動くに動けなくなった状態を示すためにニュースなどで使われていますが、そもそも立ち往生というのは立ったままで死ぬことで、語源は「弁慶の立ち往生」です。
受講者によっては弁慶の説明、義経の説明から始めなければならないことがあるので、できるだけ講習では使わないようにはしています。
先の質問に対して、私たちは「幸せはなるものではなくて感じるもの」という答えを用意しています。単に言葉の綾や雰囲気で言っているのではなくて、自分の置かれた立場や動ける範囲などを知り、幸せと感じることに自由に挑戦できるという条件があってのことで、それを示すためにも「位置を聞いて自由を知る」を使うことがあります。
自分の位置を知ることが「一を聞いて」で、自由に動けることが「十を知る」に当たるのではないかという考えをもって講習に臨むようにしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕