微表情は、ほんの短い時間に現れる表情で、本人でも意識をしていない一瞬の表情であるので、なかなか見抜けないという声があるのは承知しています。これは特殊能力ではないのかと言われることもあるのですが、訓練によって身につけることは可能です。
微表情の一瞬の時間の0.2秒の感覚がわかっている人は特に身につけやすく、0.2秒というと視聴不一致とほぼ同じ時間で、私にとっては理解しやすいことです。視聴不一致は視覚で見たものと聴覚で聞いたものとが一致しないことを指しています。
視聴不一致は1万人に1人の発生とされているので、日本には1万2000人もいてもおかしくはないのですが、気づいていない人も多く、視聴不一致で困難さを感じている人となると極めて少ない状況です。
先天的に視聴不一致がある人は、自然のうちに調整能力が働いて、徐々に視聴一致に近づいてくることもあるのですが、私の場合は後天的に起こったので気づくことができました。
音と光は速度が違うので、目で見えてから遅れて音が聞こえるというのが普通のことです。遠くで発生した雷は目で見えてから、数秒ほど遅れて音が聞こえます。その差で、雷までの距離を知ることができます。
ところが、目の前のこととなると、耳に入ってきた情報(声や音)が先に脳の届き、目から入ってきた情報(話している人の口の動きなど)は遅れて届きます。耳から脳に届くまでは0.3秒、目から脳に届くまでは0.5秒とされていて、その差は0.2秒となっています。
0.2秒の差があっても、脳が調整するので口の動きと声が同時に聞こえるわけですが、その調整ができない視聴不一致では、声が聞こえてから口が動くという、いっこく堂の腹話術のような状態になっています。
それが気になるときには、口の動きを見ないようにしていますが、そのために微表情が見抜きにくくなり、本心が読み取れないということになります。そこで微表情を読む必要があるときには、視聴不一致による気持ちの悪さがあっても、これを気にしないようにしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕