“体質”のイメージは決してよいものではないということを前回(シン・日本人の体質8)書きましたが、それは西洋医学的な発想が関係しているようです。
西洋医学は検査をして、病気を発見して、それを治療するのが大原則で、このままでは病気になる可能性が高い人であっても治療の対象にはなりません。患者が訴えている症状を抑える医薬品を出して、「とりあえず様子をみましょう」と言われたりします。
検査をしても、どれも診断基準に達していないし、病名がつかないものの不調を訴えている人には自分のところでは治療ができない、他の医療機関に行くことをすすめる、中には精神科(心療内科、神経科)の受診がすすめられるということも起こっています。
検査をしても異常がない、医師が診察をしても原因がわからないのは精密検査ができないから、診察の技術や経験がないから、だから「他の医療機関に」ということはあるとしても、他の医療機関でも同じようなことを言われるということを経験したことがある人は少なくありません。
そこで西洋医学ではなく、東洋医学を選択する人も出てきます。検査をしても異常がみられなくても不調があるのだから、これを解決しようという発想が東洋医学にはあります。
東洋医学では、表面に現れている症状は見えないところで起こっている調和の乱れがサインとして出ているという考えで、その見えないところの変化を正して不調を解決して、病気にまで進まないようにするという基本的なスタンスがあります。
西洋医学でも原因がわからないけれど痛みを訴えている人には痛みを解消する医薬品(飲み薬や貼り薬)を出すといったことはありますが、原因がわからないままの対症療法では、表面上のトラブルを解決しても根本的な改善は望めないことになります。
西洋医学も検査法が進み、研究が進む中で、身体の機能は各部位が担っているだけでなく、それぞれの部位が関わり合っていることが明らかにされてきました。
体質は、人体の各部位の機能の総和であって、それぞれの部位(臓器、器官、組織など)を個別に見ても判明できないことがあります。その総合的な状態が体質です。
西洋医学は個別の部位を精査して、病気を発見して治療してきましたが、今では身体を一つのまとまりとみなして、病気の原因を探るようになりました。これは体質の変化が病気につながるという東洋医学的な発想に近づいた結果とみることができます。
医学の進歩によって、これまで発見できなかった原因がわかるようになってきたことから西洋医学は東洋医学を駆逐したような見方をされることがあるものの、東洋医学の全体を診る治療の考えは重要であり、これを融合させた統合医学、未病医学も体質の研究の影響を受けているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕