「聖域なき構造改革」が経済政策スローガンとして掲げられたのは小泉順一郎内閣でのことです。この考えは安倍晋三内閣にも受け継がれて、野党から返り咲いて総理大臣になったときの初の会見で「構造改革を加速させ、補強していく」と語ったことで、構造改革の路線は引き継がれました。
「聖域なき構造改革」の聖域は、既得権を指していて、国が直接手がけていたことを民営化させるときの合言葉のように使われました。郵政民営化、道路関係四公団(日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団の特殊法人)の民営化などによって、公共サービスを民営化させる「官から民へ」が第一にあげられました。
また、「中央から地方へ」もスローガンとされて、国と地方の三位一体の改革として、国と地方公共団体に関する行財政システムの3つの改革(国庫補助負担金の廃止・縮減、税財政の移譲、地方交付税の一体的な見直し)が始まりました。
「聖域なき構造改革」を表す言葉として語り継がれているのは、「今の痛みに耐えて、明日を良くしようとする米百俵の精神こそ、改革を進めようとする今日の我々に必要ではないか」との小泉首相の所信表明演説の言葉です。
小泉首相は「構造改革なくして景気回復なし」と発言して、構造改革によって景気回復を図る骨太の方針を発して、これに反対する国会議員や官公庁を抵抗勢力と呼んで対立していくことになります。
郵政民営化に反対する有力議員は除名、選挙区への刺客の擁立などもあって、小泉下ろしが起こったものの、「郵政民営化に賛成するか反対するか」というわかりやすい争点を掲げた“小泉劇場”によって、総選挙に大勝した歴史は記憶に強く刻まれていることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕