肥満や生活習慣病によって食生活の見直しを指示される人は、お菓子の摂取を制限されることが多くなっています。菓子類の摂取を制限(場合によっては禁止)されるのは太る原因になっているからですが、制限をされても手が伸びてしまうのは甘さのせいです。
甘いものは脳に幸福感を与えるもので、少しの量を食べるだけで満足するはずと考えられる一方で、食べすぎることがあります。さらに甘いものがきっかけとなって、その後に食欲が高まることにもなります。
それは菓子類に含まれる作用が血糖値を一気に上昇させるからで、血糖値が上昇すると膵臓から血糖値を下げる作用があるホルモンのインスリンが多く分泌されます。インスリンによって血糖値が下がると、食欲が増して、食欲の連鎖が止まらなくなることもあります。
砂糖はブドウ糖と果糖が1対1で結びついたもので、最もブドウ糖の割合が多いものです。血糖は血液中のブドウ糖のことで、血糖値が高いということは、血液中のブドウ糖が多い状態です。血液中のブドウ糖が多くなると、余分なエネルギー源として肝臓で脂肪酸に合成されます。これが中性脂肪に合成されて、脂肪細胞の中に蓄積されていくのです。
お菓子を禁止されたり、極端に減らすことを指示された人は、他の甘いものを食べようとすることが多く、そこで求められるのは菓子パンです。パンは主食の一つであって、これを禁止されることは、あまりありません。
医師や栄養士に菓子の摂取を制限された人が、指示に従っていると報告をしたとしても、代わりに菓子パンを食べていることを報告することはほぼありません。
では、菓子パンはパンに含まれることから、問題はないのかということですが、その結論を出す前に菓子パンの定義を紹介します。食品表示法の食品表示基準では、パンは食パン、菓子パン、その他のパンに分類されています。菓子パンは甘い味をつけたり、甘味のある具材を入れたパンを指していて、あんパン、ジャムパン、クリームパンが日本の三大菓子パンとされています。
もう少し詳しく見ていくと、食品表示基準では菓子パンは「あん、クリーム、ジャム類、食用油脂等をパン生地で包み込み、もしくは折り込み、またはパン生地の上部に乗せたものを焼いたものであって、焼かれたパン生地の水分が10%以上のもの」とされています。
糖分だけでなく脂肪分も多く、100gあたりのエネルギー量をみてみると、あんパンは253kcal、ジャムパンは285kcal、クリームパンは286kcalとなっています。チョココロネは321kcal、メロンパンは345kcalにもなります。
これに対して食パンは100gで248kcalですが、5枚切りの厚めの食パンは1枚が約200kcalです。200kcalというと、ご飯なら茶碗1杯分に相当します。
菓子パンを食べた分だけ、食事の主食(ご飯、パン、麺類)を減らせばよいのでしょうが、菓子は食事とは別、菓子パンも食事とは別と考える人が多くて、なかなか減らせないということが多いのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕