介護保険制度改革で注目される歩行指導

介護保険制度が平成29年4月に改正され、要支援と要介護の負担が変わりました。負担というのは金額の負担の意味と、心身への負担の意味がありますが、今回の改正では両方の負担が変わりました。要介護は専門家の介護福祉士の仕事であることに変わりはないのですが、要支援は1と2の段階があり、これは以前には介護福祉士だけの仕事でした。急激な高齢化社会の進展を背景に、介護を受ける人に対して介護する側の介護福祉士が足りないこともあって、要支援の活動は介護福祉士でなくても実施できるようになりました。
そこで自治体によっては一般の方々に講習を実施して、支援が必要な方々の家庭に派遣することを始めたり、時間貯金制度を取り入れるところも出てきました。時間貯金というのは、支援を行った分の時間を貯金のように貯めておいて、自分が要支援となったときには貯金した分から引き出して無料で受けられるようにするという制度です。
要支援の方々に対する支援の実際を見てみると、買い物や掃除などが主で、確かに介護福祉士にはプロとしての仕事をしてもらいたいというのは当然の発想です。プロに力を入れて活躍してほしいというので要介護の実施に当たって受け取れる金額が増えました。その分だけ要支援の金額は減らされましたが、地域によっては受け皿の人材が足りないことから介護福祉士が支援をするしかなく、収入が減っているという実態もあります。
支援をすることによって、買い物や掃除などができない人を助けて、要支援の方々が外出したり、運動をする時間を作るということも期待されているのですが、なかなか身体を動かす時間を増やすというところまでは行っていません。それぞれの支援に当たる人が外出、散歩のサポートをして、要支援から要介護にならないようにするだけでなく、要支援から支援がいらない状態になれるようにしたいところですが、それぞれの要支援の方々に対して適した歩行法を教え、弱っている部分を強化する筋トレをするというのは、そういった技術を習っていない人には難しいことです。
積極的に歩くことは、歩けなくなる不安を感じてから始めるようなことではなく、普通に歩けるうちから今の状態をキープするために行うべきものです。積極的な歩行は、長く歩けばよい、歩数が多ければよいということではなく、勢いよく歩いて筋肉をつけるようにする、歩く前の運動で筋肉を刺激してから歩くことで筋肉が鍛えられることが大切です。
そこで私たちはメディカルダイエットの技術を活用して生活習慣病予防のためのインターバルウォーキングを実施すると同時に、要支援の方々をサポートする人材を対象とした歩行法の指導も実施しています。この歩行の技術は、要支援にもならないようにするために活用してほしいことです。歩行前の筋肉運動としては、ノルディックスタイルのウォーキングに用いられるポールを握って、全身を安定させながらのストレッチを採用しています。