快腸デザイン12 蠕動運動の仕組み

蠕動運動は、腸管が収縮と拡張を繰り返して、腸内の内容物を先へと送っていくことで、うごめく(蠕く)ような動きとなることから名付けられました。食事をした後に腹部がグルグルと鳴ることがあるのは、腸が動いた腸蠕動運動の結果といえます。

腸蠕動運動は腸内にある輪状筋が収縮する運動のことで、胃に食べたものが到達すると胃・結腸反射が起こり、蠕動運動が始まります。

小腸では蠕動運動は個人によって大きな差はなくて、同じような時間で回腸から盲腸まで内容物が運ばれていきます。大腸に入ると蠕動運動には大きな差があり、蠕動運動が起こりにくい場合には便通が遅くなることになります。

腸の働きは自律神経が調整していて、蠕動運動を促進するのは副交感神経で、蠕動運動を抑制するのは交感神経となっています。自律神経の調整が乱れることによって大きな影響を受けるのは大腸で、特に交感神経の働きが盛んになっているときには便通に影響が出て、便秘になることもあります。

カルシウムは吸収率が平均して30%ほどとなっていますが、吸収されなかったカルシウムは腸壁を先へと進みながら腸壁を収縮させ、蠕動運動を盛んにする働きをしています。

1日に必要とされるカルシウムは、吸収されて細胞内で使われるものが180mg、腸内で使われるものが420mgとされていることから、カルシウムの摂取量は1日に600mg以上とされています。そのため、カルシウムが不足すると蠕動運動にも影響を与えることになります。

ミネラルのマグネシウムは、浸透圧の作用で大腸内の水分量を増やす働きがあります。そのため、マグネシウムを多く摂取すると便が軟らかくなります。また、マグネシウムには大腸壁を刺激して蠕動運動を盛んにして排便を促進することから便秘の治療薬の成分としても使われています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕