日々修行66 サプリメント業界の修行

サプリメント(健康食品)業界の関わりは、それぞれの場面で付き合ってきた人によって、私に対するイメージが違っています。

週刊誌で98回、サプリメントの連載(基本は3ページ)をしてきましたが、そのときには実際の商品を例にして、成分の科学的な説明をしてきたので、販売会社の支援のように扱われることもありました。

あくまで記事であったので、有効性と商品を一緒に取り上げることができました。サプリメント商品に、効能効果を説明するようなチラシや冊子をつけて宣伝したら、これは法律違反となります。

何も宣伝をしようというのではなくて、同じように見える商品、同じ中身であっても、素材や栽培地、収穫時期、加工法によって有効成分は異なってくるので、そのような“よい商品”を選んでほしいというメッセージを込めた記事内容でした。

このような記事を書こうと思ったのは、健康雑誌などの記事は、公平性のある内容というよりも、商品を摂っている人の体験談が中心で、実際のところが伝わっていない状況への挑戦の気持ちがありました。

体験談ばかりの状況は、サプリメントを規制する法律と、これに対応(対抗?)して販売する会社の“戦い”の歴史の行き着くところと言えます。サプリメントの規制が本格的に始まったのは1987年のことで、この年に「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」が登場しました。

これはサプリメントの内容を伝える広告宣伝、書籍、雑誌記事、放送、講習などの規制をするもので、医薬品を規制する法律に基づいて定められています。その法律は以前は薬事法でしたが、改正によって「医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と変わったものの、「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」は変わることなく、改正が繰り返されていきました。

このマニュアルの「無承認無許可医薬品」という部分は、なかなか理解されにくいところですが、これは医薬品のような形状をしたサプリメントや健康食品を指しています。医薬品は承認と許可を受けて販売することができるわけですが、サプリメントや健康食品は医薬品としての承認も許可も受けていません。

それなのに医薬品と間違われるような効能効果を表示や口頭などで伝えることは、承認も許可も得ていない医薬品、つまり偽薬という位置づけで取り締まろうというのが、「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」の存在意義といえます。

この規制のおかげで、私はサプリメント業界の法律の講師として仕事をすることができました。その一部は、今でも続いています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕