セカンドステージ30 コロナ禍を経ての健康づくり

3年に渡るコロナ禍の行動制限は、国民全体の健康度を低下させることになり、その回復には、まだまだ相当の期間が必要となります。一般にはマイナスをゼロに戻して、そこからプラスに転換させていくためには、マイナス期間の2倍以上の期間がかかるとされています。

いわゆるV字回復は、そう簡単なことではなくて、表面上は回復したように見えても、身体の中では3年の間に大きなマイナス面が蓄積されています。この蓄積を解消して、短期間のうちにV字回復させようとしたら、これまで2倍、3倍、場合によっては、それ以上の工夫と努力が必要となります。

コロナ禍の3年間は、外出が制限され、日常的な健康づくりの基本となる歩くことまで時間も距離も減らさなければならないという、これまでにない行動制限が行われました。健康は身体的なことだけでなく、精神的な面も大きく影響していて、多くの人との交流は外出の機会を増やし、精神面での健康度も高める役割をしています。

その2つの健康の基本が制限された期間であり、病院はウイルスを持ち込ませない体制に力を注いだこともあって、通院数が大きく減りました。通常であれば通院患者の減少は医療機関の収益にダメージを与えることですが、ワクチン接種という収益が発生したために疾患がある人の検査や治療が減っても大きな影響がないということがありました。

健康診断は、年に1回の法定健診は減ることはなかったものの、人間ドックや特定の疾患をターゲットにした検診も減り、早期に発見される疾患が減りました。病気が少なかったということではあっても、それは短期間の表面上のことで、長期的には発見が遅れることによって重症化することが懸念される状態となりました。

健康づくりに関わるイベントの参加数が大きく減り、フィットネスクラブや体操教室、ヨガ、ダンスなどで身体を動かす機会も減っていきました。また、外出が減ることによって、外食や食品の購入が減り、栄養摂取量も全体的に低下して、健康の維持・増進に大きく影響する運動と食事が減りました。

運動というとスポーツ感覚のものを指すことが多いものの、健康面では生活活動と呼ばれる日常的に身体を使うことも含まれていて、身体強度と時間ではスポーツと変わらないほどの効果があるものもあります。これは買い物や掃除、片付け、子どもとの遊びなどを指しています。

さらに、身体を動かしていたとしてもマスク着用のために、新鮮な酸素を多く吸えない、口から吐いた二酸化炭素を再び吸い込むために、酸素を使ったエネルギー代謝や脳への酸素供給が減るといったこともあり、身体に徐々に影響が与えられることになりました。

このようなことが続く中で、国民的に大きく低下した健康度を高める活動は、今こそ本気で企業や団体、地域などで取り組まなければ、V字回復どころか、そのまま下がり続けることにもなりかねません。

その危機意識を持って、2025年4月から義務化される65歳定年の次回に立ち向かう必要がある、というのがセカンドステージの考えであり、その支援は社会的責任と強く意識しています。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕