「昭和100年」10 IP電話のリスク

昭和で数えると100年となる2025年は、さまざまな区切りの年です。その一つがNTTの固定電話がデジタル回線のIP電話に転換されることです。今のところ1月からの転換と発表されていますが、まだスタートの日は明らかにはされていません。

従来のアナログ固定電話は音声信号が銅線を伝って電話局を中継して端末(固定電話)まで届けられています。電話局を結ぶネットワークも電話線を引く電柱までは光ファイバーとなっています。そこから固定電話までが従来のものは銅線が使われていて、光回線の契約をすると固定電話まで光ファイバーの高速・安定の通信が可能となります。

これが2025年1月からは、すべて固定電話がIP電話となり、音声はデジタル化されてインターネット回線を通じて相手方に届きます。そして、デジタル信号がアナログ音声に変換されて、これまでと同じように話ができるようになるということです。

IP電話の利点は通信できる情報量が増えて、さまざまな通信サービスの質が向上するということに加えて、距離に関係なく料金が同じになるという通話料金の全国一律化が実現されることです。

利点がある一方で、難点もあることが懸念されています。それは通常ではない状況になったときに、電話が使えなくなるということです。地震などの災害があって停電になったときには、デジタルの携帯回線は使えなくなっても、アナログの固定回線は使えたというのは、これまでも伝えられてきたことです。

これもあって固定電話は安心して使うことができるということは神話のごとく伝えられてきました。もちろん、基地局は電気が通じているのが最低条件で、基地局が停電で働いていなければ不可能なことです。

その神話も、デジタル回線のIP電話に転換されたときには、通じなくなる可能性があります。震災時の停電だけでなく、デジタル回線の携帯電話はシステム障害によって使えなくなったのは、これまでにも何回もありました。

システム障害の原因が解明されないまま、これまでと同じように使うことができると、システム障害が直ったと認識されることがあるものの、原因究明がされて、完全に修復されていなければ、また発生する可能性があります。

その危険性があるデジタル回線移行の2025年1月と、「昭和100年問題」の時期が偶然にも重なっているので、もしも想定しないシステム障害が起こったときの対策は、各方面で進められているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕