活躍社会推進11 学習障害者の活躍の場

民間シンクタンクの野村総合研究所が、自閉症スペクトラム障害と注意欠陥・多動性障害を人材として活用できていないことによる経済損失が年間2兆3000億円になるとの推計を発表したことは前々回(活躍社会推進9)紹介しました。

その内容は、『デジタル社会における発達障害人材の更なる活躍機会とその経済的インパクト』として、詳細な調査結果とともに公表されています。

産業人材の確保のためには現段階では充分に働けていない人材の活躍機会を生み出すことが重要で、その人材として発達障害者が着目されています。

野村総合研究所の約10万人を対象とした調査結果によると、自閉症スペクトラム障害と注意欠陥・多動性障害の診断を受けた18〜65歳の生産労働人口は約140万人いると推計されています。

約140万人が充分に働いていないことによる1年間の経済損失は自閉症スペクトラム障害で1兆3000億円、注意欠陥・多動性障害で1兆円とされています。

発達障害は子どもの場合には10人に1人が該当していて、その特性は生涯にわたって続くという特性があります。発達障害は自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害のほかに学習障害が確認されています。

前出の調査で学習障害が外されているのは、数が少ないからではなく、学習障害にみられる識字障害、書字障害、算数障害はIT業界で仕事をするには適していないという認識が少なからずあるからです。

学習障害の単独の発現は全体では少ないものの、自閉症スペクトラム障害も注意欠陥・多動性障害も、その特性が学習面にも影響を与えることから、実際には70%が該当すると考えられています。

このことから考えると、学習障害がある人は、まだまだ活躍の場があり、特性とマッチすると優れた人材となります。私が、よく知っているIT企業では、技術者の半分ほどが発達障害者か、そのグレーゾーンである事実を見ても、能力を発揮させる場を作り出すこと、それを認識して採用する企業を増やすことが重要になってくるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕