微表情13 不機嫌の表情の原因

怒りの表情は、心理的な状態をストレートに表すことから、微表情の判定ができなくても感じ取ることができます。表情に怒りの感情が現れることは、いけないことだとわかっていても、ついつい表に出てしまうものです。

怒りを抑えることはアンガーマネジメント(怒りの感情と付き合うための心理トレーニング)もあって、怒りを予防して制御することもトレーニングによって身につけることができます。

怒りの感情を抑制することは、何もトレーニングを受けていなくても、対人関係をスムーズに進めるために心がけることだけでも可能とされています。それだけにコントロールができている人からは微表情のテクニックをしても見抜きにくいところがあります。

それに対して、不機嫌の表情は、ちょっとした感情の動きでも現れやすく、本人は気にしていないつもりであっても細かなとことで顔を出します(実際には目元、口元などの微細な筋肉の動きが瞬間的に見えるだけです)。

不機嫌の微表情は、自分にとって悪いこと、よくないことをされたときだけに見られるものではなくて、自分が優位でないと感じたときにも現れます。ここが通常の表情(大きな変化)と微表情の違いです。

優位でないということだけでなく、少しくらい不利であっても、自分に自信のある人、これまでの経験から問題なく回避できると感じている人は、周りの人の優位差などは気にはならないものです。

そのような“できた人”(人柄がよくて周りから尊敬と信頼を得ている人)は、不機嫌の微表情は現れにくい、というよりも不機嫌になることと感じていないので、微表情を見抜こうとしても、これは不可能なことといえます。

ところが、自信のない人、自分の評価を必要以上に気にする人は、自分の立場を脅かす可能性があること、これまでの評価を下げるようなことには過剰と言ってよいほどの反応を示します。これは“できる人”と評価されている人に、よくみられます。

不機嫌の微表情は、その人の器の大きさを表すシグナルでもあり、微表情を見抜かれないようにしようと口元を隠すようにして話をしたり、少し顔を背けたり、話をするときの姿勢を変えたりしても隠せるものではありません。

不機嫌の微表情を完全に見えなくするには、“できた人”になることが必要で、そのような努力の結果と言えそうです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕