セカンドステージ31 55歳以上の健康づくり

企業・団体で働く人の健康づくりは、職場に所属している間に健康が維持されることが中心に考えられてきました。企業・団体で特に健康の維持が重視されるのは“高年齢者”に分類される55歳以上の労働者です。

この分類は「高年齢者等の雇用の安定に関する法律」であげられているもので、45〜54歳は“中高年齢”とされています。

医療保険制度では、65歳以上が高齢者で、このうち65〜74歳は前期高齢者、75歳以上を後期高齢者としています。これまでの定年退職年齢が60歳の場合には、60歳から64歳までは、高齢者ではない高年齢者という扱いでした。

ところが、2025年4月からは65歳定年が義務化され、企業・団体で働いているうちは高年齢者、退職後は高齢者と分類される社会になるわけです。

従来の定年退職年齢の60歳であれば、高年齢者労働者は5年間の雇用であったわけですが、2025年4月からは高年齢者は10年間の雇用となります。さらに本人が希望した場合には70歳までの雇用が努力義務化されるので、高年齢者の雇用期間は15年間と、60歳定年の時代と比べると3倍の期間になるのです。

高年齢労働者は、44歳までの若年労働者に比べると災害発生率が高くなっています。50歳代では30歳代の約1.5倍となっていて、50歳以上の高年齢労働者が休業4日以上の死傷災害全体に占める割合は44%にもなっています。

年齢を重ねると注意力や反射力などが低下していきます。これを補うために、厚生労働省は「高年齢労働者に配慮した職場改善マニュアル」を設けて、高年齢者が安全に、健康的に仕事ができる環境づくりに努めています。

このような環境改善は重要なことですが、機能を保つための運動などの身体活動も55歳以上の高年齢労働者、45歳以上の中高年齢労働者には重要な施策となるのです。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕