高齢化が最も高いのは日本です。今は国民の30%には達していないのですが、これは男女平均の話で女性だけに30%に達しています。男女平均で30%に達するのは2020年と予測されています。このことは日本国内にとっては大問題ですが、世界的に見ると大きな問題は指摘されていません。高齢になると外出が減り、消費金額も減り、その分だけ医療費や介護費に回る分が多くなっていくわけですが、日本の高齢化は徐々に進んでいて、海外からの購入量も大きな変化をしていないことから周囲の経済への影響は、それほどではないと見られています。
世界への影響の大きさが懸念されているのは中国の高齢化です。中国は日本に30年遅れで高齢化が進んでいて、2050年には高齢化率が30%に達すると推測されています。2050年に日本が40%に達して超高齢社会と呼ばれるのに対して、中国は高齢化社会が高齢社会と呼び方が変わることで、それほど大きな変化ではないと主張する研究者もいます。しかし、中国の人口は日本の10倍以上です。日本の人口は頭打ちになっても、中国の人口は、まだまだ増え続けます。世界人口の19%が中国の人口です。今では13億人強ですが、高齢化率30%に達したときには14億人にもなります。その14億人の30%は4億2000万人で、日本人の総人口の3.5倍にもなります。
この数字を見て、先に高齢社会となった日本はノウハウが蓄積されているのでチャンスだという人もいますが、チャンスどころかピンチもピンチと訴える人も少なくありません。高齢者の消費が極端に少なくなります。もちろん医療費は増えていくものの、その医療費を日本がもらえるわけではありません。高齢者を支える家族の消費も少なくなります。つまり国内での消費である内需が下がることになり、経済発展が著しい中国の消費が大きく減っていくことになります。
中国の方々の消費というと、爆買い、インバウンドという言葉が浮かんできますが、インバウンドの減少は、それほど大きくはないと発言する経済学者もいます。それは確かかもしれませんが、日本に対するインバウンドの消費量は極めて少ない金額でしかありません。
日本の経済が発展しているなら、それなりの対応ができるかもしれませんが、日本は先に高齢社会に突入して対応力が大きく低下しているところにもってきて、日本の10倍の規模の隣国の景気が低迷したら、どうにもならなくなります。こうなると高齢社会に突入しても消費の低迷が大きくならないようにすることが重要となりますが、高齢者が外出をしないことがすべての始まりなので、高齢になっても出歩けるようにすることが大切になります。
出歩ける人の割合を減らさないようにすることが特に重要になります。高齢になっても自分の力で歩けるようにすること、その割合を増やすことは私たちの活動の大きな目標となっています。その手法を中国にも持っていくことができれば、日本への経済的な影響も抑えることができるはずです。