食事摂取基準3 対象と基準

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食事摂取基準の対象は健康な個人および健康な者を中心として構成されている集団とされています。

生活習慣病などに関する危険因子を有していたり、高齢者においてはフレイルに関する危険因子を有していることもあるものの、概ね自立した日常生活を営んでいる者、このような者を中心として構成されている集団を含むものとされています。

具体的には、歩行や家事などの身体活動を行っている者であり、体格〔BMI:Body Mass Index、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)〕が標準より著しく外れていない者としています。

なお、フレイルについては、現在のところ世界的に統一された概念は存在していません。フレイルを健常状態と要介護状態の中間的な段階と位置づける考え方と、ハイリスク状態から重度障害状態までをも含める考え方がありますが、食事摂取基準では前者の考え方を採用しています。

また、疾患を有していたり、疾患に関する高いリスクを有していたりする個人・集団に対して治療を目的とする場合は、食事摂取基準におけるエネルギーと栄養素の摂取に関する基本的な考え方を必ず理解した上で、その疾患に関連する治療ガイドラインなどの栄養監視指針を用いることになります。

食事摂取基準は、健康増進法に基づいて厚生労働大臣が定めるものとされているエネルギー(熱量)と栄養素について、その摂取量の基準を策定しています。

国民の健康の保持・増進を図る上で重要な栄養素であり、かつ十分な科学的根拠に基づき、望ましい摂取量の基準を策定できるものであるかについて、諸外国の食事摂取基準も参考に検討することとしています。

なお、これまでアルコールに関する記述は炭水化物の章に含められていましたが、化学的にも栄養学的にもアルコールは炭水化物とは異なり、栄養素でもありません。このため、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、アルコールはエネルギー源になる物質としてエネルギー産生栄養素バランスの章で触れることとなりました。

その健康影響や適切な摂取に関する事項などについては、他のガイドラインを参照するようにすすめられています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕