薄毛対策のために養毛剤を使っている人も少なくありません。薄毛対策の基本は生えるようにすることと、抜けないようにすることです。養毛剤は髪の毛を育てて抜けにくくすることを目的としたものです。
似たようなもので発毛剤がありますが、こちらは毛髪を生やすのが目的です。生やして、すぐに抜けては意味がないので、通常は脱毛の進行を遅らせる成分も使われています。
抜けないようにするためには、養毛剤を塗っておけばよいのかというと、大抵の養毛剤には使用法としてマッサージや揉み込むようにして浸透させることがすすめられています。念入りにマッサージをすると浸透しやすくなると書かれていると、養毛剤が効いているのか育毛はマッサージのおかげなのかわからなくなってしまいます。
マッサージの効果は、血行促進だと一般に言われています。毛髪の発育に必要な成分が毛母細胞に届けられやすくなるというのが大きな理由としてあげられています。最新の研究で、頭皮への振動刺激が毛乳頭細胞の細胞分裂を促進して、発毛に影響することが報告されています。
揉み込むマッサージだけよりも、振動や圧迫を与える方法がより効果が高いということで、頭皮用の振動マッサージ器への関心も高まっています。
毛乳頭細胞を刺激するほど強くマッサージをするのは大変なことですが、頭皮が硬い人は血流が悪く、マッサージによって頭皮を軟らかくすることによって、血流がよくなることは間違いありません。
圧迫による刺激といえば、東洋医学のツボ療法も注目されています。男性の薄毛はホルモン分泌が大きく影響していますが、男性ホルモンの過剰に加えて頭皮の血行不良は抜け毛の原因となっています。血行をよくする部分としては髪の分け目や生え際といった気になる部分ということになります。
それと同時に刺激されるツボとしては「百会」(ひゃくえ)が代表的なものとして、ほとんどのツボを紹介した書籍で紹介されています。
百会は頭頂部にあって、頭の正中線と左右の耳の上端を結んだ線の交差点にあります。正中線は鼻から上に上がった左右中央の線のことで、イメージとしては頭のてっぺん(頭頂部の中央部)の凹んだ部分です。
百は多くのものを示す言葉で、百会という名前は、多種多様な経絡が会う、つまり交わるという意味を持っています。経絡は、東洋医学では皮膚に現れた反射経路のことを指していて、経絡上のツボを刺激することで経絡によって結ばれた離れた部位(内臓、器官など)を刺激することができるというものです。
百会を刺激することは、経絡を通じて全身をコントロールすることができる多くの効果があるということで、自律神経と直結して体調を整えるとされています。
自律神経は交感神経と副交感神経があり、全身の内臓や器官、血流などの機能をコントロールしています。自動車にたとえると交感神経はアクセルに、副交感神経はブレーキにあたります。自律神経の働きを調整して、必要に応じてアクセルとブレーキを効かせることによって、全身の健康にプラス効果を与えるというわけです。
その中でも多くの作用が組み合わさって起こる抜け毛、薄毛には威力を発揮することが知られています。自律神経の乱れはストレスによることが多く、髪の毛の状態はストレス状態を反映するとも言われているだけに、百会の効果は大いに期待されます。
このほかに百会が用いられるのは、不眠、頭痛、肩こり、目の疲れ、二日酔い、めまい、耳鳴りなどで、血流低下が影響する痔の特効穴(特に効果のあるツボ)としても使われます。
強く刺激すればよいわけではなくて、心地よい程度に4〜5秒ほど押しては力をゆるめるという刺激法を繰り返すようにします。
理容院や美容院で頭皮マッサージをするときに、途中で親指を当てて軽く押し込むようにするのは、この百会による血流促進と自律神経調整の効果をマッサージの効果と合わせて得るためのことです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕