快腸デザイン14 運動による腸内環境の改善

腸内細菌の善玉菌と悪玉菌では、活動が高まり、増殖できる環境が異なっています。悪玉菌は腸内の温度に関係なく増殖するのに対して、善玉菌は腸内が温まるほど増殖しやすくなっています。

腸内が温まると善玉菌も悪玉菌も増殖しやすくなるものの、善玉菌が増えると悪玉菌の増殖が抑えられることから、結果として善玉菌が増えて腸内環境が整えられていくようになります。

血流が盛んになると温かい血液が早く送られてくるようになり、放熱による温度低下を上回る保温効果があります。血流が低下すると手足が冷えるのは放熱が上回っているからですが、皮膚も腸壁も血管の末梢にあたり、血流が盛んになるほど温まっていくようになります。そのため、血流が盛んになると腸内も温まって、善玉菌が増えやすい環境になっていきます。

血液の赤血球は酸素を全身に届ける役割をしていて、血流が盛んになると全身の細胞に運ばれる酸素の量が増えていきます。細胞はエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を酸素を用いてエネルギー化しています。酸素が多く運ばれるとエネルギー産生が高まりますが、作り出されたエネルギーのうち半分ほどは熱エネルギーとなって体熱の保持に使われています。

腸壁の細胞も酸素が多く運ばれることによって作り出されるエネルギーが増え、温まっていくことから、温かな環境で増殖しやすい善玉菌を増やして腸内環境が整えられるようになっていきます。

酸素を多く取り込むことができるのは有酸素運動で、簡単に実施できて効果が得られるものとしてウォーキングがあげられます。歩くことによって便通が促進されることが知られています。

これは腸が揺り動かされることが理由としてあげられていますが、それと同時に有酸素運動による酸素の取り込みの増加と、血流が盛んになることによる腸壁の温度上昇の効果もあげられています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕