厚生労働省から、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が発表されました。
以下に、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の「睡眠障害について」の「各種睡眠障害について」の閉塞性睡眠時無呼吸を紹介します。
「閉塞性睡眠時無呼吸」
睡眠時無呼吸は、睡眠中の呼吸停止を特徴とする睡眠障害です。無呼吸中に努力呼吸(呼吸困難のため胸郭を大きく動かして行う呼吸)を伴い、通常いびきが出現する閉塞性呼吸時無呼吸と、無呼吸中に努力呼吸を伴わない中枢性睡眠無呼吸に分けられます。
一般的には、睡眠時無呼吸の多くは閉塞性睡眠時無呼吸ですが、心不全や心房細動、脳卒中の患者においては、中枢性睡眠時無呼吸が高頻度で合併します。
閉塞性睡眠時無呼吸では、睡眠中に気道(空気の通り道)は何らかの理由で狭まることによって呼吸がしづらくなる、もしくは一時停止し、血液中の酸素が不足します。酸素不足になると覚醒反応が生じて呼吸は再開しますが、再び眠りにつくとまた呼吸が停止します。その結果、実睡眠時間が減少するとともに深い睡眠が減少し、日中の眠気や居眠り、睡眠休養感の低下、不眠などの症状が現れます。
閉塞性睡眠時無呼吸は、肥満が最大の発症危険因子です。このため、肥満の予防・改善を心がけることが、良質な睡眠の確保には重要です。ただし、肥満でなくても下顎が小さい、下顎が後退している、首が短いなどの身体的な特徴が原因となることもあるので、肥満ではないからといって、必ずしも閉塞性睡眠時無呼吸発症の可能性を否定することはできません。
閉塞性呼吸時無呼吸は高血圧や脳卒中、心筋梗塞、心不全などの循環器疾患や、糖尿病などの代謝性疾患の誘因にもなります。また、これらの疾患を有すると、閉塞性呼吸時無呼吸の頻度は高まり、加えて肥満であると頻度は一段と高まります。
閉塞性呼吸時無呼吸は男性の有病率が高いことが知られていますが、女性であっても閉経後に有病率が急激に増加します。これは、閉経後に加速する女性ホルモン分泌量の減少と関連していると考えられている一方で、関連性が明らかとなっていない点も多く残されています。
★本ガイドを用いる際のポイント
持続陽圧呼吸療法(CPAP)などの閉塞性睡眠時無呼吸の治療を行っていない場合、アルコール摂取やベンゾジアゼピン受容体作動薬に分類される睡眠薬の服用は、閉塞性睡眠時無呼吸を悪化させる可能性があるため、基本的にはこれらは使用しない方がよいでしょう。CPAPを行っている場合でも、アルコールは睡眠に悪影響を及ぼすことがあるので、不眠や睡眠休養感の低下、日中の眠気があるときは飲酒しない方がよいでしょう。
閉塞性睡眠時無呼吸を有する人は呼吸を過大評価することがあるため、十分な時間眠っていると感じていても実際の睡眠時間が短かったり、深い睡眠時間がとれていない場合があります。また、眠気には慣れがあるため、眠気を自覚しづらい場合もあります。このため、仮に睡眠時間が十分とれていても、睡眠休養感の低下や日中の眠気が続き、日常生活に支障を来たしている場合は、医師に相談してください。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕