健康番組の中で最も信頼度が高いのは、かつてはNHKの「ためしてガッテン」でした。この番組は途中で「ガッテン!」に変更となり、2022年からは「あしたが変わるトリセツショー」に大リニューアルされました。
生活情報・科学番組を看板に掲げていますが、その重要テーマは健康であることは変わりがなくて、これまで常識とされてきたことが実は間違っているのではないか、これが“新常識”というスタンスで放送されています。
最新情報というノリではあるものの、基本としているデータが数年前のものであったり、研究成果は変わらないのに新たな工夫やツールができたものを最新情報として取り扱っているところがあります。
代謝をテーマとした回では、トリセツの内容として「エネルギー密度」を取り上げていました。エネルギー密度というのは、体積あたりのエネルギー量のことで、同じ重量のもので、どれだけのエネルギーが発生するかを示しています。
燃料でいえば、多くの熱量を発生させるものはエネルギー密度が高いということになります。代謝が低下している人は、同じ重量(g)であってもエネルギー量が低いもの、ここではエネルギー密度が低いものを食べるようにすることで太りにくく、やせやすくなるということを番組では紹介していました。
この方法によって太り気味の人がやせてきたとすると、これは代謝が高まったのかというと、そうではありません。代謝はそのままで、摂取エネルギー量が少なくなっただけです。これは私たちが40年以上も研究してきた「100kcalダイエット」による調整法と同じことです。
本来なら摂取エネルギー量を抑えるようにすると同時に、エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を効率よくエネルギー化させて、多くのエネルギーを発生させる身体活動もすべきです。
このことが代謝を高めることであり、無理をすることなく、無駄もないというメディカルダイエットの基本となっているところです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕