厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の「全身持久力(最高酸素摂取量)について」の「全身持久力の重要性と基準値を改訂する必要性」を紹介します。
〔全身持久力の重要性と基準値を改訂する必要性〕
全身持久力の指標である体重当たりの最高酸素摂取量は、より厳密に測定される最大酸素摂取量と同様に、様々な要因による死亡や疾患発症の強力な予測因子であることから、身体活動・運動を通して全身持久力を維持・向上することが推奨されています。
厚生労働省は、「健康づくりのための身体活動基準2013」において、性・年代別の全身持久力の基準値(Reference value)を示しています。ここでの基準値とは、生活習慣病などの発症やそれらによる死亡のリスクを低下させることが期待される値を示しています。
全身持久力の基準値を健康づくりの場面で活用するためには、日本人の実態を示す標準値(Standard value:平均値、中央値、標準偏差、信頼区間など)も明確にする必要があります。
しかし、これまで我が国において全身持久力の標準値を明らかにする試みは行われてきませんでした。
全身持久力の標準値を明らかにするためには、本来、国民を代表する標本を対象に大規模な測定を行う必要がありますが、サンプリングと実測に要する経済的・時間的コストが大きく、実現が困難であるため、これまでに蓄積された日本人を対象に全身持久力を測定した研究結果を収集・統合することにより、日本人の性・年代別の全身持久力の標準値(平均値とその分布)の推定を行いました。
得られた推定標準値と「健康づくりのための身体活動基準2013」で定められた全身持久力の基準値を比較することによって、基準値の改定の必要性を検討しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕