厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の「全身持久力(最高酸素摂取量)について」の「科学的根拠」「現状」を紹介します。
〔科学的根拠〕
全身持久力と死亡や非感染性疾患の発症との関係を検討したコホート研究を対象とした最新の系統的レビュー及びメタ解析の結果によると、両者の間には直線的な負の量反応関係が見られ、全身持久力1メッツ当たりの総死亡や循環器病死亡の相対危険度が10〜20%ほど低値を示すことが示唆されています。
したがって、全身持久力が低い人から高い人まで、現状より少しでも全身持久力を高めることによって、健康上の大きな利益を得ることが期待できます。
〔現状〕
現状の全身持久力の現状を把握するために、日本人の全身持久力の記述統計値の報告に主眼を置いている論文の系統的レビューを行い、標準値の推定を行いました。
2名の研究者が検索された文献を独立してレビューし、最終的に23本の原著論文が採択されました。各採択論文から、延べ男性5万4611人、女性2万4100人の全身持久力の平均値及び標準偏差を抽出し、それらを統合することで推定平均値と分布を算出しました。
日本人の全身持久力の推定平均値とその分布を性・年代別に示しました。10歳代までは増加するが、20歳代以降は加齢に伴い低下し、その低下は線形ではなく、20〜30最大で大きく低下、40歳以降は緩やかな低下でした。重い荷物を運ぶといった8メッツの強度の活動を3分以上継続できるのは、男性の60歳代、女性の40歳代のおよそ半数であることが見て取れます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕