運動ガイド49 身体活動とエネルギー・栄養素について2

厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の「身体活動とエネルギー・栄養素について」の「身体活動とたんぱく質の摂取」を紹介します。

〔身体活動とたんぱく質の摂取〕
運動不足は、体たんぱく質異化状態を招き、適度の運動は食事性たんぱく質の利用を高めます。一方、激しい運動は、たんぱく質分解を亢進させることから、運動強度に応じてたんぱく質必要量はU字型を描くと言われています。

たんぱく質摂取量と筋肉量増加の間の用量反応関係に関する系統的レビューによると、日々の総たんぱく質摂取量と筋肉増加との間には、正の用量反応関係が示されました。毎日の総たんぱく質摂取量が体重1kg当たりの0.1g/日増加すると、2〜3か月で0.39kgの増加が期待できます。

一方、1日の体重当たりの総たんぱく質摂取量が体重1kg当たり1.3g/日を超えると、筋量増加の効率が悪くなり、総たんぱく質摂取量と筋量の変化の間は直線的とまでは言えず、総たんぱく質摂取量が多ければ多いほど筋肉量が増えるわけではありません。

また、必要な量以上に摂取することは腎機能をはじめとする健康障害のリスクが高くなる可能性があるため、身体活動量に応じて、たんぱく質を摂取することが重要です。

なお、慢性腎臓病(CKD)においては、たんぱく質摂取が腎機能の低下を促進させる危険性があるため、一般的に腎機能が低下している場合は、たんぱく質制限が行われます。また、高血圧症や糖尿病等の疾患を有している者や高齢者においては、潜在的に腎機能が低下している可能性もあることから、かかりつけ医に相談することが必要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕