厚生労働省から、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が発表されました。
以下に、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の「就業形態(交替制勤務)と睡眠の課題について」の「体内時計に負担がかかる交替制勤務」「交替制勤務と健康リスク」を紹介します。
〔体内時計に負担がかかる交替制勤務〕
現代は24時間型社会であり、便利な現在社会の維持等には交替制勤務(シフトワーク)が重要ですが、交替制勤務は、体内時計の機能に逆らって生活せざるを得ないため、身体に負担のかかる業務形態であり、様々な健康リスクがあることがわかってきています。
そのため、本ガイドで推奨している対策が参考にならない場合もあると思われます。ここでは、交替制勤務をしている人が本ガイドを活用する際の注意点をまとめましたが、記載されている内容等を実践しても、不眠や睡眠休養感の低下、覚醒時(業務中)の眠気が続き、生活に来している場合は、医療機関の受診をお勧めします。
〔交替制勤務と健康リスク〕
交替制勤務とは、始業時刻と就業時刻の組み合わせ(勤務時間帯)が固定されず、日ごとあるいは一定の期間ごとに勤務時間帯が変化する勤務形態を指します。勤務時間帯が夜から朝までの1パターンのみの場合は交替制勤務には含まれません。
厚生労働省の労働者健康状況調査によると、わが国の労働者のうち、交替制勤務者は10〜20%弱を占め、特に製造業において高いといわれています。交替制勤務は不眠や眠気、睡眠休養感の低下などの睡眠に関連する症状の発症とともに、仕事効率の低下や勤務中の事故や怪我などとの関連が報告されています。
交替制勤務に従事していない人と比較して、従事者ではメタボリックシンドロームの発症リスクが1.06倍、心血管系疾患の発症リスクが1.15倍増加することが報告されています。
さらに乳がんや前立腺がんなどの悪性腫瘍、うつ病、認知症の発症リスクが高くなるという報告もあります。
最近の英国における大規模調査研究で、交替制勤務は認知症の発症リスクとなる可能性が報告され、今後異なる人種や文化圏でも同様の影響が認められるか、検討が進むと思われます。
交替制勤務に伴う様々な心身の不調には、体内時計が司る睡眠・覚醒リズムと実際の睡眠時間のずれ、睡眠不足、徹夜ストレス、その他の心理社会的要因が関与していると考えられています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕