頭皮も顔の皮膚も、どこが境なのかわからないくらいに連続した状態で、表皮、真皮、皮下組織という3層構造になっているのも同じです。あえて言うなら、毛髪が生えているのが頭皮で、それ以外が皮膚ということになります。
前部から抜け毛の範囲が広がっていったら、その部分は頭皮というよりも顔の皮膚の面積が増えただけ、ということにもなりそうです。
肌のケアというと、洗浄、保湿、日焼け止めが三大要素となります。肌は毛穴から皮脂が出てくるころから、これを洗わなければ皮脂が酸化して、これに皮膚の一部が剥がれたタンパク質が混じって、肌も酸化させる原因となります。
皮脂の量の違いは、頭皮と肌の大きな違いということになりますが、皮脂が多くて酸化しやすいとなると、どうしてもシャンプーでの洗浄は必要になります。
毛髪だけの汚れなら2〜3日、シャンプーをしなくても済むかもしれませんが、肌は毎日洗っているはずです。それと同じように、毎日のシャンプーは頭皮の洗浄のために必要なことなのです。
肌は排泄器官だという考えもあり、洗浄は欠かせないことになるわけですが、洗浄したままにしておくと水分が失われてカサつく原因となります。
これを防ぐために化粧水が使われます。肌と頭皮が同じものであれば、頭皮の健康状態を保つためにはシャンプーを使ったあとには化粧水を塗ることも必要になります。といっても、毛髪が多い状態では化粧水を塗り込むのは大変で、肌用のパフに染み込ませてパッティングするという方法は使うことができません。
特に気になる頭頂部を中心に、化粧水を養毛剤のように塗って、軽くマッサージをするというのが通常の方法になります。
頭皮も強い紫外線を浴びる季節には日焼けをします。毛髪が多い状態だと、日焼けの状態を確認しにくいのですが、薄毛の人の場合には夏場は日焼けをしているのを他人の場合には外から覗き見で、自分の場合には鏡にうつして確認することができます。
日焼け止めはクリームタイプがありますが、皮脂が多い頭皮にクリームを塗ると、さらに脂肪が多い状態になって、頭皮にダメージを与えることにもなります。スプレー式の日焼け止めなら直接、頭皮に吹きかけることができます。
顔の皮膚の奥側には、薄いといっても筋肉があります。筋肉を動かすことで皮膚も動かして皮膚の張りを強めることもできます。それに対して、頭皮には、下側に筋肉がある部分とない部分があって、その違いが毛髪の状態の違いにもつながっています。
頭皮の筋肉は3つがあって、眉から頭上にかけての前頭筋、耳上からこめかみの側頭筋、後ろ側の後頭筋に大きく分けられます。前頭筋は眉を動かしたときに連動して動く筋肉です。側頭筋は物を噛んだときに動く筋肉です。後頭筋は意識して動かしにくいのですが、前頭筋を動かすと連動して動きます。
連動して動くのは、前頭筋と後頭筋は帽状腱膜でつながっているからです。帽状腱膜は頭頂部をおおっているごく薄い筋膜で、筋膜といっても筋肉のように動かすことができるものではありません。帽状腱膜は使わないでいるとゆるんできて、硬くなってきます。
よく頭皮が硬くなるというのは、このことを指していて、頭皮が硬くなっている部分は血流が悪くなり、そのための毛母細胞に血液が送られにくくなります。これが毛髪のヘアサイクルを乱して、薄毛の原因にもなります。
帽状腱膜をマッサージすることは頭皮の血流をよくする方法であり、頭皮から生えている毛髪に血液を送り込む重要な方法となるので、それを心がけて時間をみつけては、短くてもよいのでマッサージをするようにします。
毛髪が生えている部分の頭皮の筋肉というと前頭筋と後頭筋になりますが、前頭筋と後頭筋は、どちらも薄い筋肉で、皮膚の筋肉と似たようなところがあります。よく動かしていると筋肉の血流がよくなり、その外側の頭皮の血流もよくなっていきます。
側頭筋は噛むだけでも口を開け閉めするだけでもよく動かすことができます。問題は後頭筋で、後頭筋そのものは動かしにくくても、帽状腱膜を動かすことによって後頭筋と、その上側の頭皮の血流も盛んにしていくことができます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕