毛髪の科学57 薄毛対策のサプリメントの信頼度

薄毛対策をうたったサプリメントは数多くの種類が販売されています。その中でも注目されているのは毛髪を構成するたんぱく質のケラチンで、ケラチンを配合するものと、体内でケラチンに合成されるアミノ酸を摂ることをすすめています。

ケラチンを摂っても、胃液でアミノ酸に分解されて、体内に吸収されてから肝臓で体内で必要なたんぱく質に合成されていきます。もとはケラチンだったアミノ酸がケラチンになるとは限りません。これはアミノ酸を摂っても同じことなので、その効果には疑問も抱かれています。

毛髪の成分を摂ることと同時に、体内でアミノ酸からケラチンを合成するのに欠かせないミネラルを摂ることがすすめられるようになっています。そのミネラルは、亜鉛やマグネシウムです。

亜鉛もマグネシウムも体内の酵素を働かせるために欠かせない補酵素の役割をしているのですが、亜鉛は約200種類の酵素の補酵素、マグネシウムは約300種類の酵素の補酵素となっています。

亜鉛もマグネシウムも全身の細胞の酵素を正常に働かせるために必要なもので、何も毛髪のためだけではないのですが、不足するようも足りているほうが、摂らないよりも摂ったほうがよいのは当たり前のことです。

亜鉛もマグネシウムもサプリメントの多くに使われています。これさえ摂っておけば大丈夫と考えたいところでしょうが、毛髪の成分であり、頭皮の成分でもあるたんぱく質を作り出すアミノ酸も摂ることが大切です。

身体のたんぱく質を構成するアミノ酸は20種類ありますが、そのうち体内では合成されないために食品から摂らなければならないアミノ酸は9種類あります。これは必須アミノ酸と呼ばれています。必須アミノ酸は“良質なたんぱく質”と呼ばれている肉、魚、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品に豊富に含まれています。

食事で不足する場合にはサプリメントの出番となるわけですが、必須アミノ酸もミネラルもビタミンも豊富に、バランスよく含まれているサプリメントは通常は価格が高いものが多くなっています。ところが、内容的には優れているのに比較的安いものがあります。それはビール酵母です。

ビール酵母は消化不良の改善や整腸効果に使われることが多いものの、ある有名な会社のビール酵母の内容を見ると、9種類のビタミン、9種類のミネラル、18種類のアミノ酸が含まれていて、必須アミノ酸は9種類全部が含まれていると書かれています。

ミネラルのうち補酵素となって酵素の働きを高めてくれるのは、亜鉛とマグネシウムのほかにも、鉄、銅、マンガン、セレンがあげられます。これらはすべてビール酵母に含まれています。

ビール酵母は、その名のとおりビールを発酵させるために使われている酵母で、ビールを醸造したあとに残ったものです。

そのまま活用しなければ捨ててしまうかもしれないものを有効に活用したもので、推奨量の1日30粒でも1か月で1500円もしません。これほど安く販売できるのは、ビールの製造法に秘密があります。

ビールは熱処理をしたビールと熱処理をしない生ビールとあります。飲食店でサーバーから注ぐ業務用の生ビールはビール酵母が生きた状態で残っていて、発酵が続いているので、頑丈なアルミ製の樽に入れて破裂しないようにされています。

ビンや缶に入った生ビールも破裂しないのですが、それには理由があります。ビンと缶の生ビールは最終段階でビール酵母が取り除かれています。それなのに加熱していないということで生ビールとして販売されています。

このような生ビールを多く製造するほど、取り除かれたビール酵母も多く作られます。ビール製造会社の系列でビール酵母を販売するだけでなく、原材料として他の会社にも販売されています。生ビールが売れるほど、ビール酵母も多く作られるので、安く提供できるというわけです。

サプリメントは、食品と同じ扱いなので、いつ摂ってもよいと一般には言われています。しかし、成分によっては食後に摂らなければ吸収されない成分がある一方で、空腹時に摂らなければならない成分もあります。それを表示しておいてもらわないと、効果がない摂り方をしてしまうことになります。

ところが、いつ摂るのか、どれくらい摂るのかについて表示をしていいのは医薬品だけで、サプリメント・健康食品を含む食品には表示することが法律(医療機器等の品質、有効性及び完全性の確保等に関する法律)で規制されています。

摂取タイミングがわからないのでは無駄づかいにもなりかねませんが、ビール酵母に含まれている成分は食事と同じタイミングで摂って効果があるので、わかりやすいサプリメントだということができます。そして、元気な毛髪のために、摂り続けたいサプリメントだということもわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕