他の人には見えないものが見えるということを講習などの場で話すと、なんだか怖い話のように思われることがあるのですが、霊や妖怪の類の話ではありません。普段は見えていないというか、他の人と同じ景色しか見えていないのですが、ある条件が重なると視界に別のものが重なって見えるようになります。
それは閃輝暗点(せんきあんてん)といって、視界に輝きのようなチカチカが現れるのが閃輝、視界の一部が暗く感じるようになるのが暗点です。主に現れる症状は閃輝のほうで、頭をぶつけると視界に星が飛んでいるように見えるのと同じメカニズムで起こっています。
どのようなメカニズムかというと、目で見たものを画像化する脳の後頭葉の血流が低下するために、正常な画像が描かれなくなってしまいます。
今のデジタルのテレビやパソコンの画面では見られなくなったので想像しにくいかもしれませんが、液晶画面が出始めた頃には画面の一部が正常に再現されずに、もしくは情報伝達が遅いために正常な画面になるまで一部がモザイク状になったりしていました。
閃輝暗点が起こったことがある人に話を聞くと、症状としてはチカチカがほとんどですが、私の場合は視界の一部がモザイク状になって、その部分はよく見えなくなります。モザイクがよく現れるのは左側の下側で、視界全体の4分の1ほどになります。
左側に現れるというと、左目にだけ症状が出ているのではないかと思われることもあるのですが、右目を閉じても左目を閉じても同じところにモザイクが出ています。両目を閉じたらモザイクは現れなくなるのではないかと聞かれることもあるのですが、完全に目を閉じてもモザイクが現れています。
これは眼球の問題ではなくて、画像化する後頭葉の問題だからです。
目を閉じると何も見えなくなるのは普通のことで、「目を閉じて何も見えず」という谷村新司の「昴」の歌詞のような状態になるのは当たり前のことです。
ところが、「目を閉じてもモザイクが見える」ので、目を閉じて休んでいても血流が回復するまでは、ずっと見えたままです。
こればかりは他の人が、どのように見えているのかを想像することはできないことで、閃輝暗点が出たら対処のしようがないので、講習の途中でも、モザイクのために講習テキストに書かれていることが充分に見えなくなっても、そのまま講習を続けています。
自分で作った講習テキストなので覚えているということもあるのですが、テキスト通りに話をしなくても、後で読み返してもらえれば理解できる“読めばわかるテキスト”にしてあるからです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕