快腸デザイン16 プロバイオティクス

腸内環境を整えるためには、腸内細菌の善玉菌を増やすことが大切で、大きく二つの方法が考えられています。

一つは善玉菌と同じ働きをする菌を摂ることで、これはプロバイオティクス(probiotics)と呼ばれています。腸の機能を高める食べ物としては、ヨーグルトや発酵食品に含まれている乳酸菌が代表としてあげられます。

乳酸菌は糖を分解して乳酸を作り出す菌ですが、腸内には乳酸菌は多くは棲みついてはいません。腸内に棲みつき、増殖をするためには酢酸も必要であり、乳酸と酢酸を作り出す働きがあるのは腸内細菌のうち最も多いビフィズス菌となっています。

ビフィズス菌は32種類があり、そのうち腸内では10種類が確認されています。中でも多いのはビフィダム菌、ロンガム菌、アドレッセンティス菌、ブレーベ菌、インファンティス菌の5種類です。これらのビフィズス菌は、ヨーグルトなどの乳製品に使われています。

ビフィズス菌が含まれたヨーグルトなどを食べて、これが腸内に定着して善玉菌となっていればよいものの、腸内には1〜2日しか棲息することができません。もともと腸内で棲息しているビフィズス菌と食品のビフィズス菌は同じようなものであっても、増殖するための環境が異なると、異なった性質を持つようになります。

しかし、腸内に一時的にビフィズス菌が増えたことで、腸内での発酵が進み、腸内は酸性傾向になっています。その結果、酸性傾向の環境の中で増殖しやすい善玉菌が増えていくようになります。つまり、腸内環境を酸性傾向にして、善玉菌を増やすためには、少量でもよいので、継続してプロバイオティクスとしてのビフィズス菌を摂るようにすべきだということです。

〔プロバイオティクス作用のある素材〕
◎ケフィア
ケフィールとも呼ばれる旧ソ連の黒海とカスピ海の間の山岳地帯のコーカサス地方の伝統的な発酵飲料で、コーカサスの長寿研究から注目されました。黄色の塊ができることから日本ではヨーグルトキノコとも呼ばれ、ロシア語に合わせてケフィールとも呼ばれます。一般的なヨーグルトは乳酸菌だけの単独発酵であるのに対して、ケフィア菌は複数の乳酸菌と酵母が共生発酵したものです。菌に牛乳を合わせた乳酸飲料のほか顆粒製品もあります。整腸作用のほか、糖尿病や肝機能の改善、LDLコレステロール値の正常化などの作用があります。

◎ビフィズス菌
乳酸菌の善玉菌の一種で、オリゴ糖などの糖を発酵させて乳酸を作り出す微生物です。体内では小腸と大腸に存在し、悪玉菌を増やす肉食や脂肪の摂りすぎ、ストレスや抗生物質の摂取などによって減少しやすくなります。腸内の悪玉菌を減らし、善玉菌を増やして便秘を解消するほか、免疫強化、LDLコレステロール値低下、肝機能向上などの作用があります。
(善玉菌を増やす、もう一つの方法は次回、紹介します)
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕