こども食堂は、普段の食生活で充分な栄養が摂取できない子どもを対象とした“救済の場”というイメージを抱かれることが多く、食べるものがあればよいと考える人も少なくありません。
こども食堂は食事を提供する回数、栄養摂取の充足度が評価されることもあるのですが、これが正しい評価なのかを、提供する食事の内容だけでよいのかということを、第3の居場所、第4の居場所といった観点で考えてみました。
こども食堂は、第1の食事の場である家庭(第1の居場所)、第2の食事の場である学校(第2の居場所)で不足することを補う第3の居場所と考えられることがあります。家庭と学校の食事で満たされない子どもの居場所ということで、心身を満たす場であることが期待されています。
食べるという行為は、必要とする栄養素を補充する機会であるだけでなく、食べることによる精神的な満足感を得る場であり、コミュニケーションの場でもあります。第2の居場所(学校)では1人で食べるということが少ないとしても、第1の居場所(家庭)では1人で食べること、家族と同居していても一緒に食べていないということがあります。
また、同じ食卓を囲んでいても、精神的なつながりが希薄で、食べることがプレッシャーになっていることもあります。
発達障害がある子どもでは、食の五感(味覚、触覚、視覚、嗅覚、聴覚)が過敏であるために、一緒に食べている人と同じ感覚で食べていないことがあり、そのために同じような喜びが得られていない、場合によっては一人だけ苦しい思いをしているということもあります。
こういった面があるだけに、こども食堂では従来の形を継承するだけでは、内容的に不足することにもなりかねません。
こども食堂では、子どもは、ただ食べるだけの立場ではなく、作られたものを運ぶ、片付ける、場合によっては作る手伝いをするということに参加することができます。そういった役割を用意しているところもあります。
このほかに、食べる空間を楽しくする、こども食堂を支援しようとする大人たちを、その気にさせるといった役割をしている例もあり、子どもたちにとって食べることを超えた第4の居場所となる可能性も秘めているのです。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕