活躍社会推進15 スペクトラム状態の理解

発達障害は、境界線を確定させるのが極めて難しいところがあり、連続している中の一つの状態ということでスペクトラムという言葉が使われています。自閉症はASDとの略称で呼ばれることがあり、これは自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder)を指しています。

スペクトラムは境界が曖昧で連続していることを意味した言葉で、独立したものではなくて連続した状態という特徴があります。

スペクトラムを色の変化で表すと、例えば白と赤の2色の割合を少しずつ変えていくと、極めて白に近い赤(ピンク)から真っ赤まで、さまざまな色彩が現れます。白が99%:赤が1%から始まって、98%:2%、97%:3%………、最後は白が0%:赤が100%という段階で変化していくと考えられています。

このうち、どの割合であれば発達障害と判断するかは、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害などによって違いがあります。それぞれ診断基準を超えたときに発達障害と診断されます。

診断基準を超えた同じ状態であっても、それぞれの人の困難さには違いがあり、対応できる状態にも差があります。発達障害は脳の機能が関係するものであるだけに、そのときどきの体調や周囲の反応、環境などによっても耐えられる範囲が違ってきます。

自閉症スペクトラム障害は、「社会的コミュニケーションや対人関係の困難さ」、「限定された行動、興味、反復行動」といった特性が見られることが多く、本人の状態だけで確定されるようなものではありません。

たまたま診察を受けたときの状態、初めて医師に診察・診断されるときのプレッシャー、親の反応などによっても発達障害と診断される状態に変化が現れるのは普通のことです。

どの程度のスペクトラムの範囲で変化するのかがわからないと、誤った診断をされることがあり、発達障害児の療育を担当する現場の専門家(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保育士など)からも、診断内容が合っているのかとの疑問の声が聞かれるのも実際に起こっていることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕