快腸デザイン18 腸管免疫の向上

口から食べ物が入って、直腸を通って排泄されるまでの流れは、1本の管のように考えることができます。その中でも胃から先の十二指腸からは腸管と呼ばれていますが、腸管の内側の腸壁(粘膜部分)は、口から入ってきたものが触れています。

ここには身体にとって有害な病原菌やウイルス、アレルギー物質などが侵入してくるため、腸壁は常に外敵にさらされた状態になっています。これに対応するため、腸壁には免疫細胞が多く集まっていて、その割合は全身の免疫細胞の70%にも及んでいます。

外敵の多くは強い酸性の胃液によって死滅しています。これでは対応できない外敵が小腸にまで進んでくると、免疫細胞が集中しているパイエル板に取り込まれます。そして、免疫細胞によって攻撃されて無害化されます。

このパイエル板の免疫細胞によって腸管の健康が保持されていることから、この仕組みは腸管免疫と呼ばれています。パイエル板にはT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージなどの免疫細胞が数多くあって、有害なものが侵入したときには免疫グロブリンという抗体を作り出して攻撃していきます。

パイエル板では、免疫細胞によって攻撃をするだけではなく、どのような外敵を対処したのかという情報を放出して、全身の免疫細胞に伝えていきます。パイエル板は外敵に対するレーダーであり、情報伝達網であると言うことができます。

腸管免疫は、パイエル板の表面までやってきた外敵を的確にキャッチすることで働きが高まります。外敵の存在を的確に捉えるためには、パイエル板の表面に余計なものが付着していない、きれいな状態になっていることが大切になります。

腸内の乳酸菌が多く、悪玉菌が少ない良好な環境ではパイエル板の感度がよくなります。腸管免疫の感度を高めて、全身の免疫機能を高めていくためには、腸内環境を整える食生活が重要になるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕