重大な疾患の一つの脳梗塞は、脳血管に血栓が詰まって、血流が途絶え、脳の神経細胞が死んでしまう疾患です。脳の細胞は血流が止まると数時間のうちに完全に死んでしまい、再生されることはありません。
脳梗塞と診断されるのは発症後24時間以上、状態が続いたときです。発症後2時間の障害範囲は4時間後には約5倍に、24時間後には約9倍にも広がるとされています。だから、発症を察知したら、できるだけ早く治療を開始することが重要になります。
このような話をするのは、知人の何人かが初期症状があったのに受診が遅れて、手遅れになったからで、自分のため、周囲の人のために初期症状を知っておくことも健康の維持には必要だと感じているからです。
とは言っても、どの部分の脳血管にダメージがあったのかによって、症状の出方は大きく違っていて、まったく症状なしに経過することもあります。特に症状がない人が、MRIで脳の画像診断をすると“隠れ脳梗塞”が発見されることも少なくありません。
自分の場合は、MRI検査を受けて、年齢にしては隠れ脳梗塞が少ないということがわかり、隠れ脳梗塞がない人はほぼいないという説明をされて安心していたのですが、それから時を経ないときに“脳梗塞の前段階”になってしまいました。
それは一過性脳虚血発作といって、脳梗塞の症状が24時間未満で治った状態を指しています。「間一髪で脳梗塞を逃れた」と言われることもある状態ですが、私の場合は飲酒をしているときに起こりました。
飲み始め(日本酒換算で1合ほど)だったので、普通なら起こるはずがない呂律が回らない状態になりました。出た症状が誰にもわかることであったので、すぐに救急搬送されて、知り合い(医療関係者)が多い大学病院で診察を受けました。
一過性脳虚血発作であるものの、数分の出来事で、すぐに血栓が抜けたようだと言われました。これは飲酒をしていたおかげで、日本酒換算で1合の飲酒量では血管が緩んで血栓が通過しやすい状態だったということでした。
そのときに、「これからは脳のために飲酒をする」と言ったら、それは違うと教授に叱られてしまいました。
一過性脳虚血発作の後遺症としては一般に言われているようなことは何も起こらなかったのですが、一つだけあったのは“視聴不一致”という専門医でも首を傾げるようなことでした。このことについては次回(日々修行115)書くことにします。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕