寒い地域で暮らしてきた民族は、身体を温める作用がある食品、つまりエネルギー量が高い食品を多く食べてきました。欧米の文化はヨーロッパの北部から始まりました。穀類が多くは摂れない地域である上に、身体を温めなければならないことから脂肪が多く含まれる肉類を多く求めました。
脂肪のエネルギー量は1gあたり約9kcalあります。炭水化物は1gあたり約4kcalであるので、同じ重量では2倍以上のエネルギー量となっています。
脂肪をエネルギー化するためには、前回(シン・日本人の体質16)紹介した代謝促進成分のL‐カルニチンが必要ですが、L‐カルニチンは肉類に多く含まれています。特に多く含まれているのは羊肉と牛肉で、これらは寒い地域で伝統的に多く消費されています。
効率よくエネルギー化するためには、肉類は適した食品だったわけです。東洋医学的にいうと肉類は身体を温める作用がある食品となっています。
これに対して、暑い地域で暮らしてきた民族は、身体を冷やす作用がある食品を多く食べてきました。東洋医学的には、身体を冷やすのは野菜、果物といった夏場に収穫量が増えるものです。
暑い地域では肉類も鶏肉が中心となり、また魚の摂取が多くなっています。同じ肉類であっても鶏肉はエネルギー量が低く、L‐カルニチンの含有量は少ない特徴があります。魚は水の中で生息しているだけに体温が低く、脂肪が多めの魚であっても低めの温度で溶けるサラサラ系の脂肪酸となっています。
日本のように温暖な地域では穀類が多く、これは身体を温めすぎず、冷やしすぎない(東洋医学的にいうと)中庸の性質があります。日本人は、中庸の食品を中心として、寒いときには温める食品、暑いときには冷える食品を加えるという身体の変化に合わせた食べ方ができるという特性があるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕