発達特性4 発達障害は「障害」なのか

「発達障害」は医学用語であり、法律用語でもあります。

医学の世界では、日本精神神経学会などが「障害」から「症」の読み替えを進めていて、現在では「神経発達症」が診断名として採用されています。これはWHO(世界保健機関)の定義を受け入れたものです。

発達障害は、「害」という文字がマイナスイメージを抱かせるということから、支援団体や自治体でも「障がい」を採用するところが増えてきています。

しかし、メディアでは「障害」を使い続けているところがほとんどです。NHKは「障害は、その人自身ではなく社会の側にある、障害者は社会にある障害と立ち向かっている人」ということを示しています。

障害によって車椅子を利用する人が2階に行きたくても行けないのはエレベータなどの移動手段が整えられていないからで、それらがなくても移動できるように支えてくれる人がいないからである、という考え方です。

内閣府は、その使い分けについて、人や人の状態を表す場合には「ひらがな表記」(障がい)、法令や条例などに基づく制度や公式文書、専門用語として漢字が適当な場合には「漢字表記」(障害)とすることとしています。

しかし、これはまだ国民的には浸透の前段階で、使い分けは充分ではありません。

医学的な意味での発達障害は障害であるとしても、その障害がある人が障害を感じて生きにくい状態にあるかは周囲の対応にかかっています。表記だけを「障がい」に変えても、対応が変わっていなければ、本人や家族が“障害”と感じたまま生活をしなければならない状態は続いていることになります。

それぞれの発達の特性を知り、それに合わせた対応をすることが障害と感じさせないために、まずは取り組まなければならないことといえます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕