介護事業者が協力しないと一次予防は歩みが鈍い

自治体の介護予防事業の説明会や実際の事業のための会議に参加して思うのは、介護予防の一次予防のことになると、どうして同じようなことを各自治体でやっているのか、効率的に進めるためにモデルを導入する方法がないのか、ということです。一次予防は前回も説明したように、まだ介護が必要でない高齢者(65歳以上)を対象に、要介護とならないように運動や栄養などの指導を実施することを指します。地域交流として介護施設の中で実施する例もありますが、地域で実施するのが通常で、公共施設やアウトドアで行われるのが一般的です。
自治体が音頭を取って場所を提供するだけでは進みにくく、運動や栄養の指導者、運動の場合は実施するための補助者も必要になります。人だけいても継続的に進めるのは大変で、実際に運動をすることによって、運動を補助する栄養を摂ることによって成果が得られることが明らかにされているプログラムが必要です。栄養の指導は自治体にも栄養士がいるので、なんとかなると考えているところが多いようです。しかし、運動との組み合わせの栄養で、効果を上げる方法となると、充分に理解している栄養士は自治体の場合では少ないようです。
運動のプログラムは運動の専門家に任せればよいと考えるところでしょうが、任せると言われても介護の実態もわからない状態では、的確なプログラムを構築するのは困難とも言えます。こういったことから自治体が介護事業者とスポーツジムやフィットネスクラブの運動事業者を呼んで、両者にリサーチをして意見を聞くなどしていますが、運動を知らない介護事業者と介護を知らない運動事業者では話が噛み合わず、なんとか噛み合ったとしても歩みが鈍く、すぐにも一次予防の運動で要介護者を減らしたい、介護費用を節減したい、医療費の節減まで進めたいという自治体の望みをかなえるには期間がかかりすぎます。
個々の自治体、個々の介護事業者では難しいことなので、介護事業者を取りまとめる団体が、情報発信をして、介護事業者が一次予防の運動を充分に理解して実施する、もしくは充分に理解して運動事業者と協力して実施するということが望まれています。それを実現するといっても、全国的に一斉に始めることは時間も金もかかるのは当然のことなので、一つの地域でモデルケースを作り、それを各地域の実情に合わせてアレンジして、実現可能な形として介護事業者に提供することが近道であると考えています。
そのために連携すべき介護事業の団体と、連携内容については進み次第、徐々に明らかにしていきますが、日本メディカルダイエット支援機構は運動と栄養の組み合わせによる代謝促進の研究、日本人の体質研究、高齢者の身体特徴による運動と栄養の指導の成果を、すべて活かして取り組んでいます。健康運動指導士に対してはサプリメント教育としての実施でしたが、高齢者の運動と代謝、栄養補給について資格認定教育を公益財団法人で実施してきており、まずは身近な自治体と介護事業者、運動事業者に提供し始めたところです。