日本の平均寿命は終戦後の80年前に比べると30年以上も延びているという事実を伝え、その30年間を次世代のために使ってもらえないか、ということを話していますが、これは可能なことなのかという議論があります。
その議論の議題としてあげられているのは、平均寿命と健康寿命の差で、この差が大きすぎるということです。
長生きになったのはよいことではあるものの、健康で長生きしているのでなければ、次世代のために使うどころか、次世代に世話をしてもらわなければならない期間が長くなってしまいます。
平均寿命として発表されているのは、調査をした年に生まれた子ども(赤ちゃん)が何歳まで生きることができるかという推定値です。それには、現在と同じ社会環境、経済環境、医療環境、自然環境などが継続していた場合という条件がつけられています。
そういった推定値に対して、健康寿命は健康状態で生活することが期待される平均期間のことで、これを算出する対象の集団を定めて、その個人の生存期間を健康な期間と不健康な期間に分けて、健康な期間の平均値を求めています。
健康寿命は、一般に想像されるような実際に健康状態であった年齢の平均値ではないということです。
日本人の平均寿命(2023年)は男性が81.09年、女性が87.14年となっています。健康寿命(2022年)のほうは男性が72.57年、女性が75.45年で、発表年に違いはあるものの、男性で8.49年、女性で11.63年の差があります。
健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指していますが、この期間を過ぎると「病気や身体の状態のために自由に生活できない期間」となり、介護を受けている期間、入院をしている期間とも言い換えられています。
健康寿命の期間で考えると、男性は約23年、女性は約25年が次世代のために使える(使ってほしい)期間ということになります。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕