病院に通っているものの、生活習慣を改めて、食事に注意して運動を取り入れていることで血圧や血糖値、中性脂肪値などが安定してきている人が、それを確認するために病院に行って検査を受けると結果がよくないということは例外の話ではありません。
中には検査数値を気にして、数日前から食事を減らしたり、運動の時間を増やしたりと、医師の指示よりも頑張ったのに、結果がよくないという人もいます。血圧や血糖値は家庭で自分でも測定できるので、この状態なら病院での検査でも大丈夫と思っていても、実際に病院に行って検査を受けると残念な結果ということもあります。
病院に行くだけでストレスがかかるということはあります。いつもとは違った時間に起床して、慌ただしく出かけて、病院に行くことだけでも階段の上り下りや交通機関での移動、通行する人とのすれ違い、周りの人への気遣い、家にいるときとの気温の違いなどストレスを高める要因はいくつもあります。そして、病院に着いたら、手続きが面倒、順番待ちの時間、病人に囲まれた環境、どんな結果になるかの不安もあります。医師や看護師、スタッフの態度でも、それこそ血圧が上がりそうになってしまいます。
「検査数値を上昇させるために、わざとやっているんじゃないか」と思えるような環境や態度のところもありますが、こういったことがあることを医師がわかっていて、検査数値だけを見るのではなく、検査の前の状況を患者に聞くとか、検査当時の気温や湿度を考えるだけでも見方が変わってきます。患者の検査数値の変化に過敏に反応して、結果がよくないと医薬品の種類や量を変えようとする医師の場合には、実際の状態よりも多めの薬が使われてしまうことにもなります。
血圧、血糖値、中性脂肪値などは食事や運動だけでなく、その時々の体調によっても変わってきます。血圧はストレスに反応しやすく、血圧を下げるつもりで食事や運動を変えたことで、かえって血圧が上がることがあります。ストレスによって血糖値が上昇するのも当然のことです。ストレスがかかると心身の負担に耐えるためのエネルギーが必要になってきますが、そのエネルギーとして初めに使われるのはブドウ糖です。血糖値の血糖は血液中のブドウ糖のことなので、血糖値が変化するのは当然のことです。
どんな変化なのかというと、エネルギーとして使われて血糖値が下がるのではなく、逆に上がるという変化です。ストレスがかかると、肝臓と筋肉の中に蓄積されているグリコーゲンが分解されてブドウ糖が血液中に放出されます。グリコーゲンはブドウ糖が組み合わさってできたもので、活動に使われるエネルギーを溜めておくための形となっています。ストレスがかかると血糖値が上昇することがわかれば、検査の前に無理なことをするのはやめたほうがよい、ということがわかります。
慌てて病院に向かって、すぐに検査を受けるのではなく、余裕を持って出かけて、少し休んでから検査を受けることをすすめる人もいます。そのために家を早く出ると、これがストレスとなることもあるので、早朝には病院に行かないようにするといったように、考えるべきことは多々あります。