セカンドステージ39 健康寿命の裏付け

健康寿命の延伸は、超高齢社会の日本では重要なテーマとなっています。いわゆる“健康長寿”ですが、そもそも健康寿命とは何なのかということは充分に理解されていないところがあります。

健康寿命は集団の健康状態を表す健康指標の一つです。健康状態を平均寿命寿命で表すことは長く続けられてきましたが、これはデータであり、生きている状態の生活の質(QOL)を用いることの重要性が認識されるようになりました。

WHO(世界保健機関)が、心身ともに自立して健康的に生活できる期間として2000年に健康寿命の考え方を発表しました。そのときの世界の健康寿命ランキングで日本が世界1位であったことから、厚生労働省も取り上げ、国民的健康づくり運動の「健康日本21」においても健康寿命の延伸を最大の目標とすることが掲げられました。

健康寿命は健康状態で生活することが期待される平均期間のことで、これを算出する対象の集団を定めて、その個人の生存期間を健康な期間と不健康な期間に分けて、健康な期間の平均値が求められています。

その平均値を算出するために重要になるのが健康と不健康の定義と、それに基づく算出方法です。算出方法は複数ある中で、厚生労働省は健康な状態と不健康な状態とに二分して健康な状態の期間を表す方法を採用しています。

WHOが発表している健康寿命は、不健康な状態をレベルによって区分けして重みづけをした後に完全な健康に相当する期間をして表す方法を採用しています。この方法にとって日本は世界1位の健康長寿国とされました。

算出方法は違っていても日本のトップの位置は変わらないものの、世界と比較して、その差を見るということになると疑問も抱かれています。

日本の健康寿命は、日常生活に制限があることを不健康と定義して、「国民生活基礎調査」で得られたデータをもとにして算出されています。
その調査は、実際の身体の状態を調べたものではなくて、質問に対する返答が中心となっています。

日常生活に制限がない期間の平均(主指標)は、「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」との質問をして、「ない」と答えた人を健康、「ある」と答えた人を不健康としています。

自分が健康であると自覚している期間の平均(副指標)は、「あなたの現在の健康状態はいかがですか」との質問をして、「よい」「まあよい」「ふつう」と答えた人を健康、「あまりよくない」「よくない」と答えた人を不健康としています。

実際の算出はサリバン方式によって行われています。サリバン方式は毎年必ず10万人が誕生する状況を仮定して、そこに年齢別の死亡率と年齢別の健康・不健康の割合を与えることで、「健康状態にある生存期間の合計値(健康な人の定常人口)」を求めて、これを10万で割った健康寿命を求めています。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕