外見が若く見える人は、実際に身体の中も若い状態ということが多くなっています。このコーナーで繰り返し、「高齢者の年齢を75歳にする」という提言をしている日本老年学会と日本老年医学会の研究成果について紹介しています。両学会では、現在の高齢者の年齢の65歳を10年(10歳分)引き上げようというのだから、実際の身体的な年齢も10年は若くなっているものと感じている人は多いはずです。
確かに60歳になったときに、自分の親の60歳のときの写真と見比べると、昔の人が老けて見えるのはファッションや女性では化粧のテクニックの差だけではありません。髪の毛ばかりは“若白髪”“若ハゲ”ということありますが、皮膚の張りや艶、シワなどは大きく違っています。
60歳の人を親が25歳のときに産んだとすると、親が60歳に達したのは1992年のことです。この年の平均寿命は男性が76.09歳、女性が82.22歳です。60歳のときに母親が82歳で亡くなると計算すると、その差は22歳で、今の感覚からすると、まだまだ元気な年齢です。そのこともあって自由に動けなくなって、介護が必要になる人は少なく、「入院したら、そのまま……」ということも少なくありませんでした。今は元気な高齢者が多いので、入院しても回復して家庭に戻れるということですが、元気で体力がある分、介護状態になっても長生きできる人が多くなっています。
今から25年前というと、救急車で運ばれる脳血管疾患や心臓血管疾患の患者は病院で治療を受けることができたとしても亡くなることが多いのが実情でした。しかし、医療が進歩して、救急体制が整うことによって命が救われることになっても、その一方で介護状態、寝たきりになる人が増えることになりました。
親の世代は、その親に対して介護らしい介護をした経験がないということですが、時代を経て子供が60歳を超える年齢になった今、介護を受ける高齢者は80歳代前半では約3割、85歳以上では約6割になっています。つまり、60歳の親の年齢が85歳とすると半分ほどは介護をされることになり、その子供は介護をする世代ということになります。
今年(2017年)は戦後72年で、「72÷3=24」となり、3世代分に当たる計算です。それだけ時代が過ぎたということですが、介護する側に回ってみると、親の足腰、内臓機能が若ければ、どれだけ負担が少なくなるかを実感するところです。
こういった実情から考えると、介護される人が元気で介護する人の負担を減らすこと、介護する方も元気でいることが大切で、そのために私たちは元気の源であるエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を多く作り出すことの重要性を訴えています。そのエネルギー産生を促進するのが再三紹介している三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。