抗生物質は病気の原因となる細菌を死滅させる作用があり、健康の維持には欠かせないものとされている一方で、マイナス面も指摘されています。それは病原菌を死滅させるときに、体内で役立つ細菌も死滅させることです。
その役立つ細菌の中には腸内細菌の善玉菌も含まれています。
抗生物質と一括りにして言われることがあるものの、種類によって効き目(作用機序)や効果がある細菌(標的)、身体の中での薬の動き(薬物動態)も異なっています。そのため、腸内細菌に与える影響も変わってきます。
〔リンコマイシン系抗生物質〕(クリンダマイシン)
感染症治療で一般的に使用される抗生物質の一つで、投与後には胆汁に混ざって排泄され、結腸内腔で高濃度になり、腸内細菌にも作用します。腸内細菌のバランスが乱れて、クロストリジオイデス・ディフィル(成人の腸内によく見られる腸内細菌)の過剰増殖によって下痢症を伴う感染症を起こす恐れがあることが知られています。
〔マクロライド系抗生物質〕
細菌のタンパク質合成を阻害する作用があり、腸内では腸内細菌のアクチノバクテリア門が減少して、バクテロイデーテス門とプロテオバクテリア門が増加する傾向があることが知られています。腸内細菌バランスへの影響は、ペニシリン系抗生物質(細菌の細胞壁合成を阻害)よりも影響を与えやすいことが報告されています。
抗生物質の使用によって乱れた腸内細菌バランスは、2〜4週間で元の状態に戻るとされています。回復期間の違いは、どのような腸内環境の状態であったかが重要で、善玉菌が多く、また善玉菌が増えやすい環境になっているかどうかは、食事の内容が大きく関係しています。
食事の中でも重要になるのは、腸内細菌の栄養源(エサ)の種類で、善玉菌の主な栄養源は糖質と食物繊維です。悪玉菌の主な栄養源は動物性たんぱく質と脂肪です。
ということは、腸内環境が乱れていても、栄養源を変えることで早ければ2週間ほどで腸内環境を整えることが可能だということができます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕