日々修行150 FAXとの長い付き合い

日本のデジタル化の遅れを象徴するものとしてFAX(ファクシミリ)があげられています。マイナンバーカードの導入によってデジタル化を一気に進めていこうとして、さまざまな手続きが行われる中、最も手続きの遅れに影響したのはFAXでした。

マイナンバーカードの書類に書き込まれた内容は、その場でデータ化されて、そこから先はデータのやり取りで進められているのかと思っていたら、書類の内容は窓口の役所からFAXで送られていました。

FAXで送られてきたデータは、データを管理するお役人ではなくて、その下請けによって打ち込みが行われて、そのチェックも下請けによって行われたことから間違いが積み重ねられることになりました。

FAXが登場したのは昭和初期のことで、今年は昭和100年なので、随分と前のことになりますが、新聞社と通信社に導入されたときには円筒型でした。これは円筒に原稿が書かれた用紙を巻きつけて、針先の点で黒と白の違いを読み取っていくものでした。これが採用されたのは1960年のことでした。

これが一列に並んだ点によって線で読み取って送信できるようになったのは1968年のことでしたが、A4サイズ用紙1枚を送るのに6分もかかっていました。それが1976年には3分に、1980年にデータ圧縮が行われるようになって1分になり、そこから20秒に短縮されていきました。

1984年には高速デジタル回線の使用によって3秒で送れるようになり、FAXは家庭用にもなり、電話機とFAXの複合機は一気に進んでいくことになりました。

そこから40年間は品質向上していったものの、方式は変わることなく、漢字、ひらがな、カタカナ、英文字などが入り混じった日本特有の文章を送受信する手段として、長く使われてきました。

企業や団体では顧客がFAXで送ってくるので、これを受けるために今も使い続けているところがあります。しかし、これも終了が近づいてきました。

公式的には2025年からの固定電話の廃止によってFAXの使用が徐々に制限されることになっています。また、2025年度中にFAX使用が原則廃止されることが決まり、文部科学省の指示によって学校では使われなくなることが決まっています。

FAXは効率が悪い通信方式ではあるものの、ネット時代のセキュリティ対策ということでは安全性が高いことから、使える限りは使っていくつもりです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕