腸内細菌の悪玉菌は不要なものではないという説明を前回(日々修行151)しましたが、コレステロールも同じようなものだということを教えてくれたのは、悪玉コレステロールの命名者の中村治雄先生で、知り合ったときは慶應義塾大学病院(医学部)の内科科長から防衛医科大学教授に移るタイミングでした。
悪玉コレステロールの正式名はLDL(Low Density Lipoprotein)で、低比重リポタンパク質です。善玉コレステロールの正式名はHDL(High Density Lipoprotein)で、高比重リポタンパク質です。
コレステロールは肝臓で合成されて、血液中に放出されて全身に運ばれていきます。コレステロールは全身の細胞膜の材料であり、ホルモンの原料、胆汁の材料にもなっています。
健康維持に欠かせないものですが、悪玉と呼ばれるのは血液中で増えすぎると動脈硬化の原因となるからです。
コレステロールは脂肪の一種であるので、そのまま血液中に放出すると血液中では水と油の関係で固まってしまいます。そこで肝臓の中で、新水性のタンパク質と組み合わされたコレステロールが組み合わされた状態となります。これがリポタンパク質です。
コレステロールが多いリポタンパク質がLDLで、コレステロールが少ないリポタンパク質がHDLです。LDLは肝臓から血液を通じて全身にコレステロールを運ぶ船のようなもの、HDLは血液中の余分なコレステロールを集めて肝臓に戻していく積荷が少ない船のようなものと考えることができます。
LDLはLDLコレステロールと呼ばれることもあるのですが、LDLコレステロールはLDLに含まれているコレステロールのことです。しかし、一般にはLDLコレステロール、HDLコレステロールと認識されていることもあって、その呼び方を医療関係者も使うようになっています。
LDLが多いと動脈硬化のリスクが高まるといっても、これはLDLが酸化すると異物として免疫細胞のマクロファージが取り込んで処理します。限界まで取り込むと活動を止めて、血管の内部に入り込みます。
これが続くと、血管が硬くなり、血管内部が狭くなっていっていきます。これが動脈硬化の始まりです。問題はLDLが多いことではなくて、LDLが酸化することが問題であるので、酸化を防ぐことによって動脈硬化を予防することができます。
この仕組みと、酸化を防ぐ抗酸化物質として赤ワインのポリフェノールについて研究をして、赤ワインブームの立役者となったのは板倉弘重先生(医学博士)で、知り合ったときには国立健康・栄養研究所の臨床栄養部長でした。
板倉先生の一般向けの書籍は、私の親しい出版社が発行して、その作成にもテレビ広報にも協力をさせてもらいました。そして、現在は日本メディカルダイエット支援機構の相談役をお願いしている関係です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕