花王のヘルシアやハウスウェルネスフーズのウコンの力などに使われている環状オリゴ糖は、シクロデキストリンと呼ばれるブドウ糖8個が環状につながったオリゴ糖です。ブドウ糖が輪っかになったものですが、この技術は有機化合物合成のトップメーカーであるドイツのワッカーケミー社によるものです。このワッカーの輪っかになったオリゴ糖のおかげで、濃い有効成分の味を抵抗なく摂ることができるようになりました。
ブドウ糖は糖質の単糖の一種で、環状オリゴ糖はトウモロコシのブドウ糖から作られます。トウモロコシというと昨今では遺伝子組み替えを不安視する人もいます。確かに遺伝子組み替えによるトウモロコシもありますが、遺伝子組み替えで有害となる可能性があるのはたんぱく質です。
遺伝子組み換えは特定の遺伝子を別の植物に組み込むことで、これによって影響を受けるのはたんぱく質だけです。たんぱく質以外には組み換えの遺伝子が入り込むことはないので、遺伝子組み換えが行われたトウモロコシであったとしても問題は起こらないわけです。健康に役立つ素材を、わざわざ不安視される遺伝子組み換えされたものを使うことはないわけですが、遺伝子組み換えの世界に絶対はありません。というのは、遺伝子組み換えがされていない植物を栽培していても、種が紛れ込む可能性があるからです。
一時期は遺伝子組み換えというとアメリカが中心でしたが、今では世界中に遺伝子組み換えした植物は広まり、そこから種が広がって、遺伝子組み換えの可能性がない大豆やトウモロコシなどはなくなってしまっているのです。だからこそ遺伝子組み換えがされている植物のたんぱく質には絶対の安全ということはできないわけですが、たんぱく質が含まれていない、ブドウ糖がつながっただけのオリゴ糖は安全性が高いわけです。
「安全性が高いということは絶対に安全ではないということなのか」ということを聞いてきたメディア関係者がいましたが、わざわざ“安全性が高い”という表現をしたのは、ブドウ糖を加工するときに使われる酵素がたんぱく質だからです。この酵素が、もしも遺伝子組み換えの影響を受けていたら絶対ということは言えないわけです。
しかし、環状オリゴ糖を合成するときに使われる酵素は徹底的に調べて選び抜くことができます。それもあって、環状オリゴ糖は遺伝子組み換えの不安もなく、安心して使えるものであり、だからこそサプリメント成分を体内に効果的に届けるものとして使われているのです。
環状オリゴ糖にはタイプがあって、サプリメントに主に使われているものは6個のブドウ糖がつながったα型(α‐シクロデキストリン)と8個のブドウ糖がつながったγ型(γ‐シクロデキストリン)です。α‐シクロデキストリンは消化酵素によって分解されず、形を変えずに胃腸を通過することから余分なものを吸収させない性質があります。難消化性デキストリンも同じ性質がありますが、一般の難消化性デキストリンに2倍以上の効果があることが確認されています。
γ‐シクロデキストリンは輪の中に有効成分を取り込む包接によって、有効成分を分解されにくい状態にして、腸壁に密着して腸壁から効果的に吸収させる働きがあります。これによって効果的に摂取できるようになったのが天然型のα‐リポ酸と、コエンザイムQ10です。
シクロデキストリン、α‐リポ酸と、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。