食のリテラシー1 食について考える範囲

「食の話をする」としか伝えないで、地域の方々に集まってもらったことがあります。わざと、そのような曖昧なテーマにしたのは、「食」に、どのような印象を持っているかを調べる研究の一つになれば、との思いもありました。

普通にイメージされるのは「食=栄養」と考えて、栄養学について何が聞けるのだろうと期待してやってきた方が最も多いという結果でした。

その半数ほどが私のことを知っている方で、東京で関わってきた仕事が臨床栄養であったことを知っていたようで、医学的な栄養学の話、中でも最新情報を期待した方が多くいました。

次に多かったのは、食品に関する情報への期待で、食品の安全性(農薬や食品添加物、加工時の変性)、栄養の低下(栽培や流通、加工での変化)、おいしい食品の見抜き方、調理による食品の変化などでした。

中には日本人の体質と栄養摂取の関係性について知りたくて訪れた方もいましたが、ごく少数派でした。

実際に何を話したのかというと、まずは目の前にある食品が、どのように作られて、どのように運ばれてきて、どのように調理するのが正しいのかということです。

調理のときに廃棄される部分は、ゴミの感覚で捨ててしまえば終わりということではなくて、これについても考えるのはフードロス問題としても語られていることです。

これは「フードリテラシー」と呼ばれる範囲のことで、大事な話の導入部として講演やセミナーなどでは普通に話をされていることです。

これに続いて話をしたのが本題で、食べた(口に入れて噛んだ)あとのことです。体内でどのように変化して、最終的にはどのようなことが体内で起っているのか、それによって私たちが生きていくことができるということの再確認の話です。

つまり、私が言いたい“食”は、食べるものというよりも「食べ方の問題」についてです。

今までどのように考え、どう実践してきたのか、その結果をどう伝えてきたのかをまとめていくのが「食のリテラシー」をテーマとした連載コラムの目的です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕