「医者の不養生」といえば、人に養生をすすめる医者が自分の健康に注意しないことから、正しいとわかっていながら自分では実行しないことのたとえとして使われています。
どんな不養生なのかというと、一般には生活習慣病が想像されています。その話は次回(日々修行170)以降にして、ここでは精神・神経科の専門医の“不養生”から学ばせてもらったことを書くことにします。
精神・神経科医というと、精神面の健康の維持のための精神的なトラブルの解決についてもアドバイスしてくれる頼りになる存在と考えている人が多いことは認めます。実際に精神・神経科医とも仕事をしたことがあり、多くの救われた方々も知っています。
これは岡山に移住してから、新たにクリニックを開設したい、特徴的な切り口で集患(患者を集める)したいので相応しい医師を紹介してほしいとの依頼を受けて、1か月のうち半分以上を東京で活動していたときの話です。
何人もの医師に会い、その中から有名私立大学の教授も務めた医療界でも有名な専門医をつなぐことができました。下世話なことを書くと、医師に年間に支払われる給与の10%が紹介した者の“取り分”という条件で、これは特別に多い金額ではありません。
就職斡旋会社では医療関係者の紹介手数料は年収の20〜30%(平均28%)が通常ですが、医師は65%、看護師では45%ということもあります。
よく知っている医師が活躍できる機会であり、それによって救われる患者が多くいるであろうという考えがあっての紹介でした。
話が決まって、これで安心と岡山に新幹線で戻っている途中で、クリニック開設者から連絡が入りました。医師と話が合わなくなったとのことで、まだ東京駅にUターンできるところ(もうじき名古屋駅)だったので、すぐに引き返そうかと連絡をしたのですが、それには及ばないということで、そのまま帰岡(きこう)しました。
移動費と滞在費はもらっていて、打ち合わせの飲食費も出してもらっていたので、損得で言えばプラスマイナス“ゼロ”ではなかったものの、東京にいる間に会うべき人には会うことができたので、これはプラスでした。
もう終わった話と思っていたところに、東京で会ってきた人から妙な問い合わせがありました。それは「○○先生のクリニックは、あなたが紹介したところですか」ということでした。
「私が紹介したのは△△クリニックだから」と違うというつもりで話をしたら、○○先生が△△クリニックの院長としてホームページに出ているということを聞きました。慌てて検索してみたら、言われた通りの内容でした。
クリニックのオーナーにではなくて、紹介した先生に先に連絡を入れたら、一生(オーバーな表現か?)忘れることができないようなことを言われました。
要約すると、「一度破談となって、あなた(私のこと)の紹介は終わった。また、新たに話をしてクリニックの院長になった。だから、あなたに紹介料を支払う必要はない」ということでした。
その後も、いろいろと気を揉むようなことはあったのですが、今では“よい修行をさせてもらった”と考えることにして、ここで書いたことで今後は記憶から消し去ろうと思っています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕