100kcal栄養学10 古くて新しい100kcalの時代へ

戦後の緊急措置から始まった「80kcal=1単位」の流れは、徐々に100kcalへと移ってきています。

その始まりは案外と早くて、昭和37年(1962年)に肥満食の食事指導に100kcalの主菜食品、100kcalの果物、150kcalの主食を使用することが慶應義塾大学によって提案され、病院での食事(栄養管理)に採用されています。

昭和46年(1971年)には、たんぱく質と100kcal食品を組み合わせた『腎臓病食品交換表』(医歯薬出版刊)が作成されました。

昭和50年(1975年)には、100kcal食品の『ダイエット・ガイド』(医歯薬出版刊)が刊行されました。

こういった流れを受けて、昭和64年(1989年)に、100kcal食品を折り紙の大きさ、色彩、枚数で表して、食事をデザインする「ダイエットデザインハウス」(慶應義塾大学刊)が考案されました。

平成13年(2001年)には、『100kcal/100g日本食品成分表』(建帛社刊)が刊行されました。これによって「1枚=100kcal」を理解する基礎データが完成して、10kcalでも1kcalでも栄養成分の過不足が簡単に把握できる環境が整いました。

平成17年(2005年)に、日本肥満学会によって『肥満症治療ガイドライン2006』が報告され、肥満症治療食を「100kcal=1」を基礎に考えた熱量配分で1日の摂取熱量を1000~1800kcal(200kcal刻みの5段階)とする治療食が提唱されました。

平成18年(2006年)には、100kcal食品の組み合わせで考える『高血圧‐肥満・メタボリックシンドローム‐食事ガイド』(建帛社刊)が刊行されました。

そして、平成19年(2007年)には、日本動脈硬化学会による『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007』が刊行されました。この中で、治療食の総熱量を100%として、たんぱく質15〜20%、脂質20〜25%、残りが炭水化物との指針が示されています。

このような流れがあり、以降は100kcalを単位とする考えが定着してきたものの、まだ一般には知られる状態ではありません。いまだに栄養指導では「80kcal=1単位」というわかりにくく、指導された人を迷わせるような状態が続いているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕